令和4年度 行政書士民法難易度 標準

令和4年度 行政書士試験 問34 不法行為

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和4年度 行政書士試験 試験問題」問34(原文のまま・無改変)

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    未成年者が責任を免れるか否かは『自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(責任能力)』の有無で判断され(712条)、単なる道徳上の是非善悪の判断能力では足りません。誤りです。

  • 2誤り

    故意または過失によって一時的に責任無能力の状態を招いたときは、その間に加えた損害について賠償責任を負います(713条ただし書)。責任を負わないとする本肢は誤りです。

  • 3誤り

    正当防衛(720条1項)は『他人の不法行為』に対する防衛行為について成立します。野生の熊の襲撃は他人の不法行為ではないため正当防衛は成立せず、これは緊急避難(720条2項)の問題となります。誤りです。

  • 4誤り

    民法上の緊急避難(720条2項)は『他人の物』から生じた危難を避けるため『その物』を損傷した場合に成立します。暴漢という他人の不法行為から逃れて第三者の物を壊す行為は正当防衛(720条1項)の問題であり、緊急避難ではありません。誤りです。

  • 5正しい

    暴漢の不法行為から逃れるため第三者の窓を割った行為には正当防衛が成立し、窓を割った者は被害者に賠償責任を負いません。もっとも被害者は不法行為者である暴漢に対して損害賠償を請求できます(720条1項後段)。妥当です。

解説

正解は肢5です。民法720条1項の正当防衛は『他人の不法行為に対し、自己または第三者の権利等を防衛するためやむを得ず加害行為をした』場合に成立し、行為者は損害賠償責任を負いません。暴漢の襲撃から逃れるため第三者の窓を割った行為がこれに当たり、窓を割った者は被害者に対し賠償責任を負いませんが、被害者は不法行為者である暴漢に対し損害賠償を請求できます。これに対し、未成年者の免責は道徳上の是非善悪ではなく責任能力の有無で決し(肢1は誤り)、過失で一時的に責任無能力を招けば責任を負い(肢2は誤り)、熊の襲撃は緊急避難の問題(肢3は誤り)、他人の不法行為からの加害は正当防衛の問題であって緊急避難ではありません(肢4は誤り)。

ここがポイント

720条の正当防衛は『他人の不法行為』に対する加害、緊急避難は『他人の物』から生じた危難を避けるための物の損傷。暴漢から逃れ第三者の物を壊すのは正当防衛。被害者は加害者(暴漢)に請求可。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和4年度(2022年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。