令和4年度 行政書士試験 問35 相続
相続に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
系譜・祭具・墳墓の所有権は、被相続人の指定があればその者が、なければ慣習に従い祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します(897条1項)。妥当です。
- 2誤り
不法行為による慰謝料請求権も金銭債権として相続の対象となり、被害者が生前に請求の意思を表明していなくても相続人が承継できます(判例)。相続財産に含まれないとする本肢は誤りです。
- 3誤り
判例(最大決平成28年12月19日)は、普通預金・通常貯金・定期貯金の各債権は相続開始により当然分割されず、遺産分割の対象になるとしました。当然帰属し遺産分割の対象とならないとする本肢は誤りです。
- 4誤り
906条の2により、遺産分割前に共同相続人の1人が処分した財産は、共同相続人全員の同意(処分者の同意は不要)により、なお遺産分割時に遺産として存在するものとみなすことができます。別途訴訟による回復が必要とは限らず、誤りです。
- 5誤り
共同相続人はいつでもその協議で遺産の全部または一部の分割をすることができ(907条1項)、相続開始後3か月の経過は要件ではありません。誤りです。
解説
正解は肢1です。民法897条1項は、系譜・祭具・墳墓の所有権(祭祀財産)について、被相続人の指定があればその者が、指定がなければ慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継すると定めており妥当です。不法行為による慰謝料請求権も相続の対象となり(肢2は誤り)、預貯金債権は当然分割されず遺産分割の対象となります(肢3は誤り。最大決平成28年12月19日)。遺産分割前の処分財産は共同相続人全員の同意で遺産とみなしうるため別途訴訟が必須とは限らず(肢4は誤り。906条の2)、遺産分割協議に3か月の経過は不要です(肢5は誤り。907条1項)。
ここがポイント
祭祀財産は指定者→なければ慣習上の祭祀主宰者が承継(897条)。慰謝料請求権も相続される。預貯金債権は遺産分割の対象(平成28年大法廷)。遺産分割協議はいつでも可能。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和4年度(2022年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。