令和6年度 行政書士試験 問1 法の支配と法治国
次の文章の空欄[ ア ]〜[ オ ]にあてはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。 「『[ ア ]』と『[ イ ]』とは基本的に共通な発想に立脚する概念であるが、前者が大陸的背景のもとで何よりも[ ウ ]の国政における優位を含意するのに対し、後者は、そのイギリス的伝統に対応して、[ エ ]としての[ オ ]をまず前提しているという点で、必ずしも同一の思想を表わしているとは言い難い。」
肢ごとの解説
- 1誤り
「大陸的背景のもとで議会立法(制定法)の優位を含意する」のが『法治国』であり、アに『法の支配』を入れると文意が逆になります。エ・オの「一般意思としてのコモン・ロー」という対応も思想的に整合しません。
- 2誤り
アを『法治国』とする方向性は正しいものの、ウを『憲法』、エ・オを『一般意思/法律』とすると、イギリス的伝統で前提されるべきコモン・ローへの言及が欠け、文章全体の対比が成立しません。
- 3誤り
アを『法の支配』とする時点で、大陸的背景の概念がアに入る本文の構造と矛盾します。エ・オの「主権者としての国会」も、コモン・ローを基礎とするイギリス的伝統の説明としては不正確です。
- 4正しい
大陸的背景で議会立法(制定法)の優位を含意するのが『法治国』、イギリス的伝統で判例法としてのコモン・ローを前提するのが『法の支配』であり、ア=法治国・イ=法の支配・ウ=議会立法・エ=判例法・オ=コモン・ローという対比が文意に最も整合します。
- 5誤り
ア=法治国・ウ=議会立法までは妥当ですが、エ・オを「最高法規としての憲法」とすると、イギリス的伝統に対応するコモン・ロー・判例法という要素が欠落し、後段の説明と噛み合いません。
解説
ドイツ流の『法治国(Rechtsstaat)』は、形式的には議会が制定した法律(議会立法)に従って行政が行われることを重視する概念です。これに対し英米の『法の支配(rule of law)』は、コモン・ロー(判例法)の伝統を背景に、国王や議会をも拘束する高次の法の支配を前提とします。本文は両概念が共通の発想に立ちつつも、大陸=議会立法の優位、英国=判例法としてのコモン・ローの前提という点で異なると指摘しています。したがってア=法治国、イ=法の支配、ウ=議会立法、エ=判例法、オ=コモン・ローとなり、肢4が妥当です。空欄補充は前後の「大陸的背景」「イギリス的伝統」という手がかりから対比を読み取るのが解法の鍵です。
ここがポイント
法治国=議会立法(制定法)の優位/法の支配=コモン・ロー(判例法)の伝統、という大陸法と英米法の対比を押さえる。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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