平成30年度 宅建試験 問1 意思表示(取消し・虚偽表示・詐欺と第三者)
AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
契約が取り消されると当事者は原状回復義務を負い(民法121条の2)、登記の返還義務と代金返還義務は公平の見地から同時履行の関係に立つと解されています。記述は正しいです。
- 2正しい
錯誤による取消しは表意者A本人やその代理人・承継人が主張できるものであり、相手方Bが援用することはできません。Bは取消しできないとする記述は正しいです。
- 3正しい
虚偽表示(仮装譲渡)の無効は善意の第三者に対抗できません(民法94条2項)。転得者Cが仮装の事実を知らなければ保護され、Aは無効を対抗できないため記述は正しいです。
- 4誤り
第三者の詐欺による意思表示は、相手方Bがその事実を知り又は知り得たときに限り取り消せます(民法96条2項)。Bが善意無過失であればAは取消しできず、転得者Dの悪意は関係しないため、本肢は誤りです。
解説
正解は肢4です。第三者の詐欺を理由とする取消しは、表意者Aと相対する相手方Bが詐欺の事実を知り又は知ることができたときに限って認められます(民法96条2項)。本肢ではBが善意無過失であるため、たとえ転得者Dが悪意であってもAはAB間の契約を取り消すことはできません。取消しの可否は契約の相手方Bの主観で判断し、後に登場する転得者Dの善意悪意は基準になりません。肢1の原状回復義務の同時履行、肢2の錯誤取消しの主張権者、肢3の虚偽表示と善意の第三者保護はいずれも正しい記述です。
ここがポイント
第三者詐欺の取消しは『相手方が悪意又は有過失』のときのみ可能(96条2項)。判断基準は契約の相手方であって、その後の転得者ではない。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)が公表する平成30年度(2018年度)宅地建物取引士資格試験の試験問題からの引用です。正解番号はRETIO公表の正解番号表に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-06)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。