令和2年度 宅建権利関係難易度 標準

令和2年度 宅建試験 問1 相隣関係(囲繞地通行権)

問題(引用)出典: 一般財団法人 不動産適正取引推進機構「令和2年度 宅地建物取引士資格試験 試験問題」問1(原文のまま・無改変)

Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

正解1選択肢 1 が正しい

肢ごとの解説

  • 1正しい

    共有物の分割によって公道に通じない土地が生じた場合、その土地の所有者は他の分割者の所有地のみを通行でき、この場合は償金を支払う必要がありません(民法213条1項)。本肢が正しい記述です。

  • 2誤り

    判例(最判平成18年3月16日)は、自動車による通行権が認められるか否かは、他の土地に与える損害との比較衡量により判断するとしており、自動車通行が一律に否定されるわけではありません。『認められることはない』とする本肢は誤りです。

  • 3誤り

    乙土地の賃借権は、甲土地の所有権に従たる権利として当然に移転するものではありません。賃借権の移転には賃貸人の承諾が必要であり(民法612条)、甲土地の所有権移転に伴って当然にBへ移転するわけではないため、本肢は誤りです。

  • 4誤り

    囲繞地通行権は、囲まれた土地と囲む土地との位置関係から法律上当然に発生する権利であり、囲む土地が時効取得されても消滅しません。AはCが時効取得した土地を引き続き通行でき、『通行することができなくなる』とする本肢は誤りです。

解説

正解は肢1です。共有物の分割によって公道に通じない土地(袋地)が生じた場合、その所有者は他の分割者の所有地のみを通行することができ、しかも償金を支払う必要はありません(民法213条1項)。これは分割により袋地を作り出した当事者間の公平を図るための規定です。肢2は自動車通行権が損害との比較衡量で認められ得る点(平成18年判例)、肢3は賃借権が従たる権利として当然移転するわけではない点、肢4は囲繞地通行権が囲む土地の時効取得により消滅しない点で、それぞれ誤りです。

ここがポイント

共有物分割で生じた袋地は『他の分割者の土地のみ』を『償金なし』で通行できる(213条)。通常の囲繞地通行権は償金を要する点と区別する。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)が公表する令和2年度(2020年度)宅地建物取引士資格試験の試験問題からの引用です。正解番号はRETIO公表の正解番号表に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。(10月実施分)

解説は作成時点(2026-06-06)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。