図書館は、「本を借りる場所」から「思わず長居したくなる空間」へと進化しています。建築家が腕をふるった大屋根や吹き抜け、光を巧みに操る壁——全国には、訪れるだけで気分が上がる“おしゃれな図書館”がいくつもあります。
この特集では、建物も内部も美しい全国の図書館8館を、写真とともに巡ります。設計者・竣工年・空間の見どころを添えてご紹介。次の休日、本を片手に出かけたくなる一館がきっと見つかります。
この記事の要点
- 全国の「建築が美しい図書館」を8館、写真とともに紹介します。
- 伊東豊雄(ぎふメディアコスモス/せんだいメディアテーク)、隈研吾(TOYAMAキラリ)、仙田満(石川県立図書館)ら著名建築家の作品が並びます。
- 木の温もり系・光と曲線の現代建築・歴史的洋風建築まで、空間のタイプはさまざま。
- いずれも入館・閲覧は無料。読書も見学も楽しめます(撮影・飲食・会話の可否は館のルールを確認)。
1. みんなの森 ぎふメディアコスモス(岐阜県岐阜市)
伊東豊雄・2015年波打つ木格子の大屋根から、ポリエステル製の白い傘「グローブ」がいくつも吊り下がる——岐阜市の複合文化施設「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の2階は、建築家・伊東豊雄が設計した岐阜市立中央図書館です。
地元・東濃ひのきを編んだ天井がやわらかな曲面を描き、グローブの下にテーマ別の閲覧スペースが島のように点在します。自然光と自然換気を生かした設計で、照明や空調に頼りきらない「森のなかで本を読む」ような感覚。岐阜駅周辺で“ここにしかない空間”を味わうなら、まず訪れたい一館です。
2. 金沢海みらい図書館(石川県金沢市)
シーラカンスK&H・2011年真っ白な箱に、大きさの違う円い窓が約6,000個——金沢海みらい図書館の外壁「パンチングウォール」は、直射日光をやわらげながら、一日中ふんわりとした光を室内に届けます。
設計はシーラカンスK&H(工藤和美+堀場弘)。約45m四方・高さ約12mのワンルーム空間を、細い柱だけで支える大胆な構成で、見渡すかぎり本と光に包まれます。世界的にも評価が高く、「世界の魅力的な図書館」に選ばれたこともある、金沢を代表する現代建築です。
3. 石川県立図書館「百万石ビブリオバウム」(石川県金沢市)
仙田満・2022年円形劇場(コロシアム)のように、本棚が段々と重なって観客席を描く——2022年に金沢市内へ移転新築した石川県立図書館、愛称「百万石ビブリオバウム」。
中央の大空間「ブックコロシアム」は4層吹き抜けで、どこに立っても360度を本に囲まれる劇的な眺め。開架の蔵書は約30万冊、座席は約500席へと一気に拡大しました。設計は仙田満(環境デザイン研究所)で、2022年度グッドデザイン賞を受賞。「居るだけで楽しい」を体現した、新しい時代の県立図書館です。
4. TOYAMAキラリ/富山市立図書館本館(富山県富山市)
隈研吾・2015年御影石・ガラス・アルミの約1,000枚のパネルが、立山連峰の雪のように外観を覆う——隈研吾らが手がけた複合施設「TOYAMAキラリ」。富山市立図書館本館、富山市ガラス美術館、銀行が同居する建物です。
内部は2階から6階を貫く斜めの大吹き抜けが圧巻。壁面には富山県産の杉ルーバーがびっしりと張られ、木のあたたかさと斜めの幾何学が織りなす立体的な空間が広がります。光が落ちる吹き抜けを見上げながらの読書は格別です。
5. せんだいメディアテーク(宮城県仙台市)
伊東豊雄・2001年13本の鉄骨の「チューブ」が、ガラスの箱を貫いて立ち上がる——2001年に開館した「せんだいメディアテーク」は、伊東豊雄の代表作にして現代日本建築の金字塔です。
柱でも壁でもないチューブが、構造・設備・光をまとめて担い、各フロアは仕切りの少ない自由な空間に。定禅寺通りのケヤキ並木に面した透明なファサードは、街に開かれた知の拠点そのもの。2階の図書館を中心に、ギャラリーやスタジオが入り、本と出会い、創作する場として今も人を集めています。
6. 那須塩原市図書館 みるる(栃木県那須塩原市)
UAo(伊藤麻理)・2020年「少々賑やかな図書館をつくります」——2020年、JR黒磯駅前に開館した那須塩原市図書館「みるる」は、飲食やおしゃべりもOKという、ひらかれた図書館です。
建築スタジオUAo(伊藤麻理)が、那須塩原のアイデンティティである「森」をモチーフに設計。木のグリッド棚が連なり、抜けのある空間を歩けば、まるで森のなかを散歩しているよう。カフェやテラス、ギャラリーも併設し、本を読む人も、おしゃべりに来た人も、思い思いに過ごせる“まちの居間”になっています。
7. 武雄市図書館(佐賀県武雄市)
CCC/蔦屋書店(改修)・2013年高い木組みの天井の下に、書店とスターバックス、そして図書館が同居する——2013年、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(蔦屋書店)の運営で生まれ変わった佐賀県の武雄市図書館。
「年中無休・夜9時まで」という、公共図書館の常識を塗り替える運営で全国の話題をさらいました。コーヒー片手に本を選び、そのまま読みふける——“居たくなる図書館”という潮流の先駆けであり、公共施設のあり方をめぐる議論のきっかけにもなった、象徴的な一館です。
8. 大阪府立中之島図書館(大阪府大阪市)
野口孫市・1904年最後は、“おしゃれ”の源流ともいえる歴史建築。大阪・中之島の水辺に建つ大阪府立中之島図書館は、1904年(明治37年)竣工、国の重要文化財です。
コリント式の列柱とペディメント(三角破風)、中央のドームを戴く重厚な正面は、まるでヨーロッパの宮殿。住友家の寄贈により野口孫市が設計したネオ・バロック様式の名建築が、今も現役の図書館として使われています。ガラスとコンクリートの現代建築とは対照的な、石造の風格を味わいに。
おしゃれ図書館のめぐり方・マナー
美しい空間を気持ちよく楽しむために、訪れる前に知っておきたいポイントです。
- 入館・閲覧は基本無料。ふらりと立ち寄って見学できる館がほとんどです。
- 撮影はルールを確認。他の利用者を写さない、フラッシュを使わない、撮影には申請が必要——といった条件がある館が多くあります。
- 飲食・会話・PCの可否は館により異なる。みるるや武雄市図書館のように飲食・会話に寛容な館もあれば、静粛が基本の館もあります。
- 休館日・開館時間は事前にチェック。月曜や月末整理日が休みの館が多めです。
よくある質問
Q. 日本で建築が美しい・おしゃれな図書館はどこですか? A. みんなの森 ぎふメディアコスモス(伊東豊雄)、金沢海みらい図書館、石川県立図書館「百万石ビブリオバウム」、TOYAMAキラリ(隈研吾)、せんだいメディアテーク(伊東豊雄)などが代表例です。木の温もりを生かした館から、光と曲線の現代建築、歴史的な洋風建築まで多彩です。
Q. 図書館の中で写真撮影はできますか? A. 館ごとにルールが異なります。他の利用者が写り込まない、フラッシュを使わない、撮影には申請が必要、といった条件があることが多いので、各館の公式案内や掲示に従ってください。
Q. おしゃれな図書館でも勉強や仕事はできますか? A. 閲覧席や学習席を備える館が多く可能ですが、静粛が基本です。PCの使用可否や私語・飲食の可否は館によって異なるため、利用前に各館のルールを確認しましょう。
Q. 入館は無料ですか? A. この記事で紹介した図書館は、いずれも入館・閲覧は無料です(特別展や一部の有料サービスを除く)。
調査方法・写真について
本記事は、自習室比較ナビが収録する全国の図書館データと、各施設の公開情報・建築に関する公表資料をもとに編集部が構成しています。設計者・竣工年などの事実は2026年6月時点で各施設や公的資料を確認しました。掲載写真は各施設のGoogleマップ等で公開されている写真を利用しています。開館時間・休館日・撮影可否などの最新情報は、必ず各施設の公式サイトでご確認ください。
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特定の建築家の世界観をじっくり味わいたい方へ。代表作を写真とともに深掘りした特集もどうぞ。
- 建築家・伊東豊雄の図書館(せんだいメディアテーク/ぎふメディアコスモス)
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