平成27年度 行政書士試験 問19 国家賠償法1条(判例)
国家賠償法1条1項に関する最高裁判所の判例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
最判昭和31年11月30日は、客観的に職務執行の外形を備える行為については、行為者が主観的に権限行使の意思を有しなくても国家賠償法1条1項の適用があるとしました(外形標準説)。適用を否定する本肢は判例に反し正しくありません。
- 2正しい
最判昭和61年2月27日は、パトカーの追跡を受けた車両による事故について、追跡行為に職務上の必要性があり方法も不相当でない場合には国家賠償法1条1項の違法性は認められないとしました。本肢は判例どおりで正しい記述です。
- 3誤り
ナイフ一時保管事件(最判昭和57年1月19日)は、警察官がナイフを提出させ一時保管すべき状況に至っていたのにこれを怠ったことは、職務上の義務に違反し違法であるとしました。違法性が認められないとする本肢は正しくありません。
- 4誤り
旧軍砲弾類爆発事件(最判昭和59年3月23日)は、警察官が回収等の措置を講ずべき状況にありながらこれを怠ったことは違法であるとしました(権限不行使の違法)。違法性が認められないとする本肢は正しくありません。
- 5誤り
最判昭和54年7月10日は、都道府県警察の警察官による交通犯罪捜査につき違法に損害を与えた場合、賠償責任を負うのは当該都道府県であるとしました。賠償責任を負うのが国で都道府県は負わないとする本肢は正しくありません。
解説
本問は国家賠償法1条1項に関する判例の理解を問う問題です。最判昭和61年2月27日は、パトカーに追跡された逃走車両が第三者に衝突して損害を生じさせた事案について、警察官の追跡行為に職務上の必要性があり、かつ追跡の方法が不相当でない状況においては、当該追跡行為に国家賠償法1条1項の違法性は認められないとしました。したがって肢2が正しい記述です。他の肢は、外形標準説により非番警察官の行為にも適用を認めた判例(肢1)、ナイフ一時保管・旧軍砲弾類爆発という権限不行使を違法とした判例(肢3・肢4)、都道府県警察の捜査の賠償責任は都道府県が負うとした判例(肢5)に、いずれも反します。外形標準説と権限不行使の違法が頻出論点です。
ここがポイント
パトカー追跡は必要性があり方法が不相当でなければ違法でない(最判昭61)。権限不行使でも違法となりうる。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成27年度(2015年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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