平成27年度 行政書士試験 問28 心裡留保・虚偽表示
心裡留保および虚偽表示に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
婚姻や縁組などの身分行為には心裡留保の規定(民法93条)は適用されず、真に縁組の意思がなければ相手方の善意・無過失を問わず縁組は無効です(判例)。よって妥当でありません。
- 2誤り
財団法人設立行為のように相手方のない単独行為であっても、通謀して仮装された出捐は虚偽表示として無効と解されます。単独行為だから虚偽表示にあたらないとする点が誤りです。
- 3誤り
判例は、仮装譲受人から土地上の建物を賃借したにすぎない者は、土地の仮装譲渡について94条2項の「第三者」にあたらないとします。したがって善意でも保護されず、明渡しを拒めません。妥当でありません。
- 4誤り
仮装の売買代金債権を譲り受けた者は、虚偽表示の目的につき新たに法律上の利害関係を有する第三者にあたります。善意であれば94条2項により保護され、買主に支払を求めうるため、本肢は誤りです。
- 5正しい
仮装の貸金債権を譲り受けた者は94条2項の善意の第三者として保護され、借主に返済を求められます。金銭が現実に交付されていなくても、善意の譲受人に対して仮装の無効を対抗できないため、本肢が妥当です。
解説
通謀虚偽表示は当事者間では無効ですが、善意の第三者には無効を対抗できません(民法94条2項)。ここで「第三者」とは、虚偽表示の当事者・包括承継人以外で、その表示の目的について新たに法律上の利害関係を有するに至った者をいいます。仮装された債権(売買代金債権・貸金債権)を譲り受けた者は、この第三者にあたるため、善意であれば保護され、債務者に履行を求めることができます。これに対し、仮装譲渡された土地上の建物の賃借人は、土地の仮装譲渡について新たな利害関係を取得した第三者とはいえず保護されません(肢3)。また身分行為には心裡留保・虚偽表示の規定が適用されません(肢1)。以上より、仮装貸金債権の善意の譲受人が返済請求できるとする肢5が妥当です。
ここがポイント
94条2項の善意の第三者=虚偽表示の目的につき新たに法律上の利害関係を取得した者。仮装債権の譲受人は第三者にあたるが、仮装譲渡地上の建物賃借人は該当しない。身分行為に93・94条は不適用。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成27年度(2015年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。