平成27年度 行政書士試験 問33 贈与
Aは、自己所有の甲建物をBに贈与する旨を約した(以下「本件贈与」)。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
書面によらない贈与は解除できますが、履行が終わった部分は解除できません(民法550条但書)。引渡しと移転登記が完了していれば履行終了として解除できないため、本肢は妥当でありません。
- 2誤り
贈与が「書面による」というために要求される書面は、贈与の意思が確実に看取できる程度のもので足り、契約書の形式や移転登記期日・署名押印まで具備する必要はありません(判例)。本肢は要件を過度に厳格にしており妥当でありません。
- 3正しい
死因贈与には遺贈の規定が準用され(民法554条)、遺言が撤回自由であることに準じて、贈与者はいつでも死因贈与を撤回(解除)できるのが原則です(判例)。本肢は妥当です。
- 4誤り
負担付贈与には双務契約の規定が準用され、受贈者が負担(扶養)を履行しないときは、贈与者は債務不履行を理由に贈与を解除できます。引渡し・登記が済んでいても解除できるため、本肢は妥当でありません。
- 5誤り
負担付死因贈与で受贈者が負担の全部または相当部分を履行した場合は、特段の事情がない限り、贈与者は撤回(解除)できません(判例)。解除できるとする本肢は妥当でありません。
解説
贈与をめぐる複数の論点を横断する問題です。書面によらない贈与は各当事者が解除できますが、履行の終わった部分については解除できません(民法550条)。不動産では引渡しまたは移転登記のいずれかが済めば履行終了と扱われるため、引渡しと登記が完了した肢1は解除できず妥当でありません。書面による贈与の「書面」は、贈与意思が確実に看取できれば足り、契約書形式や登記期日の記載は不要です(肢2は妥当でない)。死因贈与には遺贈の規定が準用され、原則として贈与者はいつでも撤回できるため肢3が妥当です。負担付贈与は双務契約の規定が準用され負担不履行で解除しうる一方(肢4は妥当でない)、負担付死因贈与で受贈者が負担をほぼ履行した場合は原則撤回できません(肢5は妥当でない)。
ここがポイント
書面によらない贈与は履行終了部分は解除不可(550条)。死因贈与は遺贈準用で原則撤回自由だが、負担付死因贈与で負担をほぼ履行済みなら原則撤回不可。負担付贈与は不履行で解除可。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成27年度(2015年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。