平成27年度 行政書士民法難易度 やや難

平成27年度 行政書士試験 問35 婚約・婚姻・離婚

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「平成27年度 行政書士試験 試験問題」問35(原文のまま・無改変)

婚約、婚姻および離婚に関する以下の相談に対する回答のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 ア 結納は婚姻の成立を確証し、併せて当事者間の情宜を厚くする目的で授受される一種の贈与とされています。婚姻が解消された場合には原則として返還すべきものですので、あなたには結納金の返還を請求できる権利があります。 イ 判例によれば、婚姻が有効に成立するためには、届出時点における当事者の婚姻意思が必要です。婚姻届作成後に翻意したというような特段の事情がないとしても、現在Bは意思能力を欠いた状態ですので、婚姻届を提出したとしても婚姻の効力は生じません。 ウ 子の監護に要する費用は、婚姻から生じる費用です。婚姻費用の請求は婚姻の継続を前提とする請求であるのに対して、離婚訴訟は婚姻の解消を目指す訴訟ですから、このように性質が異なる訴訟を一緒に行うことはできません。 エ 民法の規定によれば夫婦間の契約は婚姻中いつでも取り消すことができますが、その趣旨は、夫婦間の約束事に法は介入すべきではなく、当事者の道義に委ねるべきだというものです。婚姻が実質的に破綻しているような場合にはこの趣旨は妥当しませんので、相手方は贈与契約を取り消すことができません。

正解2選択肢 2 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    アは妥当ですが、イが妥当でありません。判例は婚姻意思の存在時期を緩やかに解し、届出受理時に意思能力を欠いても作成時の意思が翻意なく存続していれば婚姻は有効とします。

  • 2正しい

    ア・エがいずれも妥当です。結納は婚姻不成立を解除条件とする贈与とされ婚姻解消時に原則返還を要し、夫婦間契約取消権(民法754条)は婚姻が実質的に破綻している場合には行使できません(判例)。

  • 3誤り

    イ・ウいずれも妥当でありません。イは婚姻意思の判断時期を誤り、ウは離婚訴訟に附帯して婚姻費用(子の監護費用を含む)の処分を求めうる点を見落としています。

  • 4誤り

    エは妥当ですが、イが妥当でありません。届出時に意思能力を欠いても作成時の意思が存続していれば婚姻は有効とされます。

  • 5誤り

    エは妥当ですが、ウが妥当でありません。離婚訴訟では附帯処分として婚姻費用・子の監護に関する処分を求めることができます。

解説

家族法の複数論点を問う組合せ問題です。アは妥当で、結納は婚姻の成立を確証する目的の贈与(婚姻不成立を解除条件とする贈与)とされ、婚姻が解消された場合には原則として返還を要するとされます。イは妥当でなく、判例は届出受理時に当事者が意識を失っていても、届書作成時の婚姻意思が翻意なく存続していれば婚姻は有効に成立するとします。ウも妥当でなく、子の監護費用を含む婚姻費用は離婚訴訟の附帯処分として申し立てることができ、性質が異なるから併せられないとはいえません。エは妥当で、夫婦間の契約取消権(民法754条)について判例は、婚姻が実質的に破綻している場合には同条の取消しは認められないとします。したがって妥当な組合せはア・エで、肢2が正解です。

ここがポイント

結納は婚姻不成立を解除条件とする贈与で解消時は原則返還。婚姻意思は届書作成時に存続すれば届出受理時に意思を失っても有効。夫婦間契約取消権は婚姻破綻時には行使不可(754条)。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成27年度(2015年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。