平成27年度 行政書士試験 問41 公立図書館と著作者の人格的利益(多肢選択)
次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
公立図書館は、住民に対して思想、意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供してその教養を高めること等を目的とする[ ア ]ということができる。そして、公立図書館の図書館職員は、公立図書館が上記のような役割を果たせるように、独断的な評価や個人的な好みにとらわれることなく、公正に図書館資料を取り扱うべき[ イ ]を負うものというべきであり、閲覧に供されている図書について、独断的な評価や個人的な好みによってこれを廃棄することは、図書館職員としての基本的な[ イ ]に反するものといわなければならない。他方、公立図書館が、上記のとおり、住民に図書館資料を提供するための[ ア ]であるということは、そこで閲覧に供された図書の[ ウ ]にとって、その思想、意見等を[ エ ]する[ ア ]でもあるということができる。したがって、公立図書館の図書館職員が閲覧に供されている図書を[ ウ ]の思想や信条を理由とするなど不公正な取扱いによって廃棄することは、当該[ ウ ]が著作物によってその思想、意見等を[ エ ]する利益を不当に損なうものといわなければならない。そして、[ ウ ]の思想の自由、表現の自由が憲法により保障された基本的人権であることにもかんがみると、公立図書館において、その著作物が閲覧に供されている[ ウ ]が有する上記利益は、法的保護に値する人格的利益であると解するのが相当であり、公立図書館の図書館職員である公務員が、図書の廃棄について、基本的な[ イ ]に反し、[ ウ ]又は著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取扱いをしたときは、当該図書の[ ウ ]の上記人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきである。
語群
- 1. 読者
- 2. 客観的良心
- 3. 制度的保障
- 4. 公衆に伝達
- 5. 道義上の責務
- 6. 啓発施設
- 7. 政治倫理
- 8. 出版者
- 9. 利用者
- 10. 学習施設
- 11. 研究者
- 12. 世論に訴求
- 13. 職務上の義務
- 14. 図書館の自由
- 15. 著作者
- 16. 有効に批判
- 17. 教育の場
- 18. 無料で収集
- 19. 公的な場
- 20. 広汎に流通
空欄の正解
- ア19. 公的な場
公立図書館は住民に図書館資料を提供してその教養を高める役割を担う施設であり、住民が情報に接する「公的な場」と位置づけられるため、この語が入ります。
- イ13. 職務上の義務
図書館職員が独断や個人的好みを排し公正に資料を取り扱うべき拘束は、職員という公務員の地位に伴う「職務上の義務」として把握されるためです。
- ウ15. 著作者
閲覧に供された図書を通じてその思想・意見等を公衆に伝達する人格的利益の主体であり、不公正な廃棄により利益を害されるのは「著作者」だからです。
- エ4. 公衆に伝達
著作者が著作物を閲覧に供されることで得る利益の内容は、自己の思想・意見等を広く読み手に届けること、すなわち「公衆に伝達」する利益だからです。
解説
正解はア=19(公的な場)、イ=13(職務上の義務)、ウ=15(著作者)、エ=4(公衆に伝達)です。船橋市西図書館図書廃棄事件(最判平成17年7月14日)は、公立図書館を住民が思想・情報に接する「公的な場」と位置づけ、図書館職員は公正に資料を取り扱う「職務上の義務」を負うとしました。そのうえで、図書が閲覧に供されることは「著作者」がその思想・意見等を「公衆に伝達」する利益を持つことを意味し、図書館職員が著作者の思想・信条を理由に不公正に図書を廃棄すれば、この法的保護に値する人格的利益を侵害して国家賠償法上違法となると判断しました。表現の自由の保障とのつながりを意識して語句を選ぶ問題です。
ここがポイント
船橋市西図書館図書廃棄事件(最判平17・7・14)は、公立図書館で著作物が閲覧に供されている著作者が思想・意見等を公衆に伝達する利益を「法的保護に値する人格的利益」とし、図書館職員の不公正な廃棄を国家賠償法上違法とした。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成27年度(2015年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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