平成27年度 行政書士試験 問43 行政指導と建築確認の留保(多肢選択)
次の文章は、最高裁判所判決の一節である。空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
建築確認申請に係る建築物の建築計画をめぐり建築主と付近住民との間に紛争が生じ、関係地方公共団体により建築主に対し、付近住民と話合いを行って円満に紛争を解決するようにとの内容の行政指導が行われ、建築主において[ ア ]に右行政指導に応じて付近住民と協議をしている場合においても、そのことから常に当然に建築主が建築主事に対し確認処分を[ イ ]することについてまで[ ア ]に同意をしているものとみるのは相当でない。しかしながら、…関係地方公共団体において、当該建築確認申請に係る建築物が建築計画どおりに建築されると付近住民に対し少なからぬ日照阻害、風害等の被害を及ぼし、良好な居住環境あるいは市街環境を損なうことになるものと考えて、当該地域の生活環境の維持、向上を図るために、建築主に対し、当該建築物の建築計画につき一定の譲歩・協力を求める行政指導を行い、建築主が[ ア ]にこれに応じているものと認められる場合においては、[ ウ ]上合理的と認められる期間建築主事が申請に係る建築計画に対する確認処分を[ イ ]し、行政指導の結果に期待することがあつたとしても、これをもつて直ちに違法な措置であるとまではいえないというべきである。もつとも、右のような確認処分の[ イ ]は、建築主の[ ア ]の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を[ イ ]されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合のものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が[ ウ ]上正義の観念に反するものといえるような[ エ ]が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を[ イ ]することは、違法であると解するのが相当である。
語群
- 1. 強制
- 2. 慣習法
- 3. 社会通念
- 4. 特段の事情
- 5. 通知
- 6. 悪意
- 7. 事実の認定
- 8. 法令の解釈
- 9. 併合
- 10. 衡平
- 11. 善意
- 12. 政策実施
- 13. 任意
- 14. 適用除外
- 15. 却下
- 16. 先例
- 17. 拒否
- 18. 審査請求
- 19. 留保
- 20. 信頼保護
空欄の正解
- ア13. 任意
行政指導は相手方の自発的協力を前提とする事実行為であり、建築主がこれに応じるのは強制ではなく「任意」の協力であることが、判旨の出発点だからです。
- イ19. 留保
建築主事が確認処分をせずに先送りし行政指導の結果を待つ措置を指す語であり、確認処分の「留保」が文脈に合致するためです。
- ウ3. 社会通念
確認処分の留保が許される期間の合理性や、不協力が正義の観念に反するか否かは、社会一般の通常の判断基準である「社会通念」に照らして評価されるからです。
- エ4. 特段の事情
建築主が不協力の意思を明示した後も例外的に留保が違法とならないための要件であり、建築主の不協力を正義に反すると評価し得る「特段の事情」がこれにあたるためです。
解説
正解はア=13(任意)、イ=19(留保)、ウ=3(社会通念)、エ=4(特段の事情)です。品川マンション事件(最判昭和60年7月16日)は、建築確認をめぐる行政指導と確認処分の留保の限界を示した判例です。行政指導は建築主の「任意」の協力を前提とする事実上の措置にすぎないので、建築主が応じている間は「社会通念」上合理的な期間の確認処分の「留保」も直ちに違法とはいえません。しかし、建築主が留保された状態での指導には応じられない意思を明確に表明した場合は、不協力が「社会通念」上正義の観念に反するといえる「特段の事情」がない限り、行政指導を理由とする確認処分の留保は違法になると判断しました。
ここがポイント
品川マンション事件(最判昭60・7・16)は、建築主が任意に行政指導へ協力する間の確認処分の留保は社会通念上合理的な期間なら適法だが、建築主が不協力の意思を明示した後は特段の事情がない限り留保は違法とした。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成27年度(2015年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。