平成27年度 行政書士試験 問9 国と国家公務員の法律関係(安全配慮義務)
国と国家公務員との法律関係に関する次の記述のうち、最高裁判所の判決に照らし、正しいものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
最判昭和50年2月25日は、国と公務員は特別な社会的接触の関係にあるとして、国は信義則上の安全配慮義務を負うとしました。賠償責任を負わないとする本肢は判例に反し正しくありません。
- 2誤り
安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間に信義則上認められる義務であり、国と国家公務員の公法上の関係においても認められます。認められないとする本肢は正しくありません。
- 3誤り
公務災害に関する国の賠償についても、安全配慮義務違反による債務不履行責任として民法の規定が適用される余地があります。民法の適用余地がないとする本肢は正しくありません。
- 4誤り
公務災害に関する賠償は、国家賠償法上の不法行為責任に限られず、安全配慮義務違反を理由とする債務不履行責任を問うこともできます。不法行為責任に限られるとする本肢は正しくありません。
- 5正しい
最判昭和50年2月25日は、安全配慮義務違反による損害賠償債権の消滅時効には、早期決済を旨とする会計法30条(5年)ではなく民法の規定が適用されるとしました。本肢は判例どおりで正しいものです。
解説
本問は安全配慮義務に関する最判昭和50年2月25日(自衛隊車両整備工場事件)の理解を問う問題です。最高裁は、国と国家公務員とは特別な社会的接触の関係にあり、国は公務員に対し信義則上、生命・健康等を危険から保護する安全配慮義務を負うとしました。そして、この安全配慮義務違反による損害賠償債権の消滅時効については、行政上の便宜を考慮した会計法30条の5年ではなく、一般法たる民法の規定が適用されると判示しました。したがって肢5が正しい記述です。安全配慮義務は不法行為とは別個の債務不履行責任として構成される点、消滅時効に民法が適用される点が本判例のポイントです。
ここがポイント
安全配慮義務は信義則上の債務不履行責任。その損害賠償債権の時効は会計法ではなく民法が適用される。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成27年度(2015年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。