平成28年度 行政書士試験 問17 行政事件訴訟法・法律上の利益
行政事件訴訟における法律上の利益に関する次のア~オの記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。 ア 処分の取消訴訟において、原告は、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として処分の取消しを求めることはできず、こうした理由のみを主張する請求は棄却される。 イ 処分の無効確認の訴えは、当該処分に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分の無効の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分の無効を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。 ウ 処分の取消訴訟は、処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においても、なお、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者であれば提起することができる。 エ 不作為の違法確認訴訟は、処分について申請をした者以外の者であっても、当該不作為の違法の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者であれば提起することができる。 オ 民衆訴訟とは、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する訴訟であり、原告は、自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起することができる。
肢ごとの解説
- 1誤り
アは行政事件訴訟法10条1項どおりで正しく、イも36条どおりで正しいため、誤っているものの組合せには当たりません。
- 2誤り
アは10条1項どおりで正しく、オは誤りですが、アが正しい以上この組合せは正解になりません。
- 3誤り
イ(無効確認の訴えの原告適格・36条)もウ(処分後の回復すべき法律上の利益・9条1項括弧書)もいずれも正しく、誤っているものの組合せには当たりません。
- 4誤り
ウは9条1項どおりで正しいため、ウを含むこの組合せは誤っているものの組合せに当たりません。
- 5正しい
エは誤りで、不作為の違法確認訴訟は『処分又は裁決についての申請をした者』に限り提起できます(37条)。オも誤りで、本記述は機関訴訟の定義(6条)であり、民衆訴訟(5条=自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起する選挙訴訟・住民訴訟等)の定義ではありません。よってエ・オの組合せが正解です。
解説
行政事件訴訟における原告適格・訴えの利益を問う問題です。ア(自己の利益に関係のない違法の主張制限・10条1項)、イ(無効確認の訴えの補充性・36条)、ウ(処分の効果消滅後も回復すべき法律上の利益があれば訴え提起可・9条1項括弧書)はいずれも正しい記述です。これに対しエは誤りで、不作為の違法確認訴訟は『処分又は裁決についての申請をした者』に限り提起でき(37条)、申請をしていない者は提起できません。オも誤りで、本記述の『機関相互間の権限の存否・行使に関する訴訟』は機関訴訟(6条)の定義であり、民衆訴訟(5条)の定義ではありません。誤っている組合せはエ・オで、肢5が正解です。
ここがポイント
不作為違法確認は『申請をした者』限定(37条)。民衆訴訟(5条)と機関訴訟(6条)の定義の入替えに注意。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成28年度(2016年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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