平成28年度 行政書士試験 問18 行政事件訴訟法・判例
行政事件訴訟に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
判例(最判平成22年6月3日)は、固定資産税の賦課処分が取り消されていなくても、その違法を理由とする国家賠償請求は妨げられないとしました。取消訴訟を経ない国賠請求を認められないとする本記述は判例に反します。
- 2誤り
判例(最大判昭和45年7月15日)は、供託金取戻請求を却下した供託官の処分は行政処分であり、その取消しは抗告訴訟(取消訴訟)によるべきとしました。民事訴訟で争うべきとする本記述は判例に反します。
- 3正しい
もんじゅ訴訟(最判平成4年9月22日)は、原子炉設置許可の無効を主張する周辺住民が運転差止めの民事訴訟を提起しうるとしても、それによって無効確認訴訟の目的を達することができるとはいえず、無効確認訴訟の原告適格・訴えの利益が否定されるわけではないとしました。本記述は判例に沿い正しいです。
- 4誤り
年金支給をしない旨の決定は処分であり、これに不服があれば取消訴訟を提起できます。給付の当事者訴訟のみで取消訴訟は認められないとする本記述は判例・通説に反します。
- 5誤り
判例(最判平成17年4月14日)は、登録免許税の過大納付について、税務署長の還付通知をすべき旨の請求に対する拒否通知が取消訴訟の対象となる処分に当たるとしました。取消訴訟を認められないとする本記述は判例に反します。
解説
行政事件訴訟に関する重要判例を問う問題です。肢1(固定資産税賦課処分と国賠)は、取消訴訟を経なくても違法を理由とする国賠請求が認められるとする判例(最判平成22年6月3日)に反します。肢2(供託金取戻し却下)は抗告訴訟によるべきとする判例(最大判昭和45年7月15日)に反し、肢5(登録免許税還付の拒否通知)は当該通知が処分に当たり取消訴訟の対象となるとする判例(最判平成17年4月14日)に反します。肢4も年金不支給決定の取消訴訟を否定する点で誤りです。これに対し肢3は、もんじゅ訴訟(最判平成4年9月22日)が、民事差止訴訟を提起しうることをもって無効確認訴訟が排斥されるわけではないとした判示に合致し、正しいものは肢3です。
ここがポイント
もんじゅ訴訟=民事差止訴訟が可能でも無効確認訴訟の補充性は否定されない。登録免許税還付拒否通知・供託金取戻し却下は処分性あり(抗告訴訟)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成28年度(2016年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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