平成28年度 行政書士行政法難易度 やや難

平成28年度 行政書士試験 問19 行政事件訴訟法・処分性

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「平成28年度 行政書士試験 試験問題」問19(原文のまま・無改変)

処分性に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

正解3選択肢 3 が正しい

肢ごとの解説

  • 1正しい

    横浜市保育所廃止条例事件(最判平成21年11月26日)は、保育所廃止条例の制定行為が、特定の児童・保護者の法的地位を直接奪うものとして行政庁の処分と実質的に同視しうるとして処分性を肯定しており、本記述は正しいです。

  • 2正しい

    2項道路一括指定事件(最判平成14年1月17日)は、一括指定の方法でされた2項道路の指定でも、個別の土地に具体的な私権制限を生じさせ権利義務に直接影響を与えるとして処分性を肯定しており、本記述は正しいです。

  • 3誤り

    病院開設中止勧告事件(最判平成17年7月15日)は、勧告は行政指導として定められているものの、これに従わない場合には相当程度の確実さで保険医療機関の指定を受けられなくなるという結果を生じさせるとして、抗告訴訟の対象となる処分性を肯定しました。処分に当たらないとする本記述は判例に反し誤りで、これが正解です。

  • 4正しい

    土地区画整理事業計画決定事件(最大判平成20年9月10日)は、事業計画の決定が施行地区内の宅地所有者等の法的地位に変動をもたらすとして処分性を肯定しており、本記述は正しいです。

  • 5正しい

    用途地域指定事件(最判昭和57年4月22日)は、工業地域指定の決定の効果は一般的抽象的な権利制限にすぎず、直ちに具体的な権利侵害を伴う処分があったとはいえないとして処分性を否定しており、本記述は正しいです。

解説

処分性に関する重要判例を問う問題です。肢1(保育所廃止条例)、肢2(2項道路一括指定)、肢4(土地区画整理事業計画決定)は処分性を肯定した判例、肢5(用途地域指定)は処分性を否定した判例の結論を正しく述べています。これに対し肢3は、病院開設中止勧告事件判決(最判平成17年7月15日)の結論を誤っています。同判決は、当該勧告は行政指導であっても、これに従わない場合には相当程度の確実さで保険医療機関の指定が受けられなくなり、実際上病院開設が困難になるとして、抗告訴訟の対象となる処分性を肯定しました。処分に当たらないとする肢3が誤りです。

ここがポイント

病院開設中止勧告は、保険医療機関指定拒否につながる実際上の効果ゆえ処分性肯定。計画決定・廃止条例・2項道路指定は肯定、用途地域指定は否定。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成28年度(2016年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。