平成28年度 行政書士試験 問25 上水道の利用関係
上水道の利用関係について、最高裁判所の判例に照らし、妥当な記述はどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
判例(志免町給水拒否事件・最判平成11年1月21日)は、給水義務がある一方で、水の供給能力に余裕がなく将来の需要増による水不足が予測されるような場合には、水道法15条1項の「正当の理由」があるとして給水契約を拒否できるとしました。
- 2誤り
判例(武蔵野市給水拒否事件・最決平成元年11月8日)は、教育施設負担金を求める指導要綱に従わないことを理由とする給水拒否を、水道法上「正当の理由」のない給水拒否として違法としましたが、任意の負担金の納付を求めること自体が当然に違法とされたわけではありません。
- 3誤り
判例(高根町別荘地給水条例事件・最判平成18年7月14日)は、別荘所有者と通常の給水契約者とで基本料金に格差を設けること自体が直ちに違法・無効となるわけではなく、不合理な差別にあたるか否かを審査すべきとしており、同一に取り扱わなければならないとはしていません。
- 4誤り
水道料金は給水契約に基づく私法上の関係であり、条例改正は処分性を有しないため、条例改正そのものの無効確認を求める抗告訴訟は認められません。
- 5誤り
水道供給契約は私法上の契約であり、給水停止の差止めを求める民事訴訟は不適法とはいえません。公権力の行使だから民事差止めができないとする点が誤りです。
解説
上水道をめぐる主要判例を横断的に問う問題です。肢1は志免町給水拒否事件(最判平成11年1月21日)の判旨どおりで、給水義務(水道法15条1項)はあるものの、水の供給能力を超え将来の水不足が確実に予測されるような場合には「正当の理由」があるとして給水契約を拒否できるとされ、妥当です。肢2の武蔵野市事件は負担金不納付を理由とする給水拒否を違法としたものですが、任意の負担金を求めること自体が違法とまでは判断していません。肢3の高根町別荘地事件は別荘料金格差を一律無効とはせず合理性審査によるとしました。水道供給は私法上の契約関係である点(肢4・5)も重要です。各判例の事案と結論を正確に対応づけることが解法の鍵です。
ここがポイント
給水義務はあるが水不足が確実に予測される場合は給水拒否に正当理由あり(志免町事件)。水道供給は私法上の契約関係で、料金は処分性を持たず給水停止の民事差止めも可能。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成28年度(2016年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。