平成28年度 行政書士試験 問42 多肢選択式・適正手続と行政手続(川崎民商事件)
次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
[ ア ]について[ イ ]の規定を設けない立法の合憲性が問われた事件において、最高裁は、次のように述べてこれを合憲と判断した。すなわち、憲法31条による保障は、「直接には[ ウ ]に関するものであるが、[ エ ]については、それが[ ウ ]ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない」。「しかしながら、同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても、一般に、[ エ ]は、[ ウ ]とその性質においておのずから差異があり、また、行政目的に応じて多種多様であるから、[ ア ]の相手方に・・・告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、[ エ ]により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、[ ア ]により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当である」。また、この判決に付された意見も、「[ エ ]がそれぞれの行政目的に応じて多種多様である実情に照らせば、・・・[ ア ]全般につき・・・告知・聴聞を含む[ イ ]を欠くことが直ちに違憲・無効の結論を招来する、と解するのは相当でない」と述べて、法廷意見の結論を是認した(最大判平成4年7月1日民集46巻5号437頁)。
語群
- 1. 立法手続
- 2. 行政立法
- 3. 行政訴訟
- 4. 刑事手続
- 5. 行政裁量
- 6. 行政手続
- 7. 司法権
- 8. 営業の自由
- 9. 財産権
- 10. 基本的人権
- 11. 司法手続
- 12. 事前手続
- 13. 適正手続
- 14. 立法権
- 15. 行政権
- 16. 権利救済
- 17. 破壊活動
- 18. 人身の自由
- 19. 行政処分
- 20. 犯罪行為
空欄の正解
- ア19. 行政処分
本件で告知・弁解・防御の機会の要否が問われている対象は、行政庁が相手方に対して行う「行政処分」であり、繰り返しその相手方や達成すべき公益が語られています。
- イ12. 事前手続
告知・聴聞を含む手続で、処分に先立って与えられるものを指すため、「事前手続」が入ります。これを欠くことが直ちに違憲とはならないと述べられています。
- ウ4. 刑事手続
憲法31条が「直接には」保障するのは刑罰権の行使に関わる「刑事手続」であり、これと行政処分とを対比する文脈なので「刑事手続」が入ります。
- エ6. 行政手続
刑事手続と性質を異にし、行政目的に応じて多種多様であると説明される対象は「行政手続」であり、31条の保障が及び得るかが論じられています。
解説
正解はア=19(行政処分)、イ=12(事前手続)、ウ=4(刑事手続)、エ=6(行政手続)です。本問の素材は成田新法事件(最大判平成4年7月1日)で、川崎民商事件の流れをくむ適正手続の判例です。最高裁は、憲法31条の定める法定手続の保障は直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続だからといってそのすべてが当然に同条の保障の枠外にあるわけではないとしました。もっとも、行政手続は刑事手続とは性質を異にし行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に事前の告知・弁解・防御の機会を与えるかは、制限される権利利益の内容や達成すべき公益の内容・緊急性等を総合較量して決すべきで、常に必ず事前手続が必要となるわけではないと判示しました。31条の保障が行政手続にも及び得るが、その程度は較量により決まるという枠組みが要点です。
ここがポイント
成田新法事件は、憲法31条の保障は直接には刑事手続に関するが行政手続にも及び得るとしつつ、事前の告知・弁解・防御の機会の要否は権利利益と公益の総合較量で決まり、常に必要ではないとした。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成28年度(2016年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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