平成28年度 行政書士憲法難易度 標準

平成28年度 行政書士試験 問6 信教の自由・政教分離

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「平成28年度 行政書士試験 試験問題」問6(原文のまま・無改変)

信教の自由・政教分離に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、最も妥当なものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    津地鎮祭事件の目的効果基準では、禁止される宗教的活動とは、行為の目的が宗教的意義をもち、かつその効果が宗教に対する援助・助長・促進または圧迫・干渉等になるような行為をいうとされます。『目的・効果のいずれか』と捉える本記述は基準の理解を誤っており、妥当ではありません。

  • 2誤り

    憲法89条が禁ずるのは宗教上の組織・団体への公金支出であり、判例(箕面忠魂碑事件等)は、当該団体が宗教的活動を本来の目的とするか否か等を踏まえて『宗教上の組織・団体』該当性を判断します。何らかの宗教的かかわりがあれば一律に禁止されるとする本記述は妥当ではありません。

  • 3誤り

    愛媛玉串料訴訟(最大判平成9年4月2日)は、県が公金から玉串料等を神社に奉納した行為について、目的効果基準により宗教的意義をもち特定宗教への援助・助長等になるとして、社会的儀礼にとどまらず憲法20条3項・89条に違反すると判断しました。『当然に違反するとはいえない』とする本記述は判例に反します。

  • 4誤り

    自衛官合祀訴訟(最大判昭和63年6月1日)は、信仰上の静謐という宗教上の感情を被侵害利益として法的救済を求めることは、原則として認められないとしました。原則として救済を求められるとする本記述は判例に反します。

  • 5正しい

    オウム真理教解散命令事件(最決平成8年1月30日)は、解散命令が信者の宗教上の行為を法的に制約する効果を伴わなくても何らかの支障を生じさせるおそれがある以上、信教の自由の重要性に思いを致し、規制が憲法上許容されるかを慎重に吟味しなければならないとしました。本記述は判例に沿い妥当です。

解説

信教の自由・政教分離に関する主要判例の理解を問う問題です。肢1は津地鎮祭事件の目的効果基準を『目的・効果のいずれか』と誤って捉えており不適切、肢3は愛媛玉串料訴訟が違憲としたのに『当然に違反するとはいえない』とする点で誤り、肢4は自衛官合祀訴訟が宗教上の感情を被侵害利益とする救済を原則否定した点に反します。肢2も憲法89条の『宗教上の組織・団体』該当性の判断枠組みを誤っています。これに対し肢5は、オウム真理教解散命令事件決定が、解散命令に伴う間接的支障を踏まえ規制の憲法適合性を慎重に吟味すべきとした判示に合致し、最も妥当です。

ここがポイント

目的効果基準(津地鎮祭・愛媛玉串料)、宗教上感情の救済否定(自衛官合祀)、解散命令の慎重審査(オウム)の各判例結論を区別して押さえる。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成28年度(2016年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。