平成29年度 行政書士試験 問10 執行罰
執行罰に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
執行罰は「過料」を科すことによって義務の履行を心理的に強制する制度であり、「罰金」を科すものではありません。罰金は刑罰の一種であり、執行罰とは異なるため、本肢は誤りです。
- 2誤り
執行罰は行政機関が自ら科すものであり、裁判所の決定によって科されるものではありません。非訟事件手続法による裁判所の決定で科されるのは秩序罰としての過料であり、執行罰の手続とは異なるため、誤りです。
- 3正しい
執行罰は刑罰ではなく将来の義務履行を確保するための間接強制手段であるため、刑罰に関する二重処罰禁止(憲法39条)の適用はなく、義務が履行されるまで同一の義務不履行について反復して科すことができます。本肢が妥当です。
- 4誤り
執行罰について定める一般法は存在せず個別法を要する点は正しいものの、行政代執行法は代執行についての一般法であり、執行罰の規定を条例で定めることを明文で許容してはいません。後半が誤りです。
- 5誤り
現行法上、執行罰を定める例は砂防法36条がほぼ唯一であり、「多くの法令において軽微な届出義務違反に科される」という実情はありません。本肢は誤りです。
解説
正解は肢3です。執行罰は、義務者が行政上の義務を履行しない場合に過料を予告・賦課して心理的圧迫を加え、将来の義務履行を間接的に強制する制度です。刑罰ではないため二重処罰禁止の原則は及ばず、義務が履行されるまで反復して科すことができます。肢1は「罰金」ではなく「過料」を用いる点、肢2は裁判所ではなく行政機関が科す点、肢4は行政代執行法が執行罰を条例化する根拠を置いていない点、肢5は現行法上の執行罰の例が砂防法に限られ実例が乏しい点で、それぞれ妥当でありません。
ここがポイント
執行罰=過料による間接強制。刑罰でないため二重処罰禁止が及ばず反復して科せる。現行法では砂防法36条がほぼ唯一の例。秩序罰(過料)とは別概念。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。