平成29年度 行政書士行政法難易度 標準

平成29年度 行政書士試験 問12 処分理由の提示

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「平成29年度 行政書士試験 試験問題」問12(原文のまま・無改変)

処分理由の提示に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解3選択肢 3 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    行政手続法は、不利益処分(14条)だけでなく、申請に対する拒否処分についても理由の提示を義務付けています(8条)。「申請に対する拒否処分に関する理由の提示の定めはない」とする本肢は誤りです。

  • 2誤り

    一級建築士免許取消処分事件(最判平成23年6月7日)は、理由提示が不十分な場合、その違法を理由に処分が取り消されるとしました。「裁判所は当該処分を取り消すことはできない」とする本肢は判例に反し誤りです。

  • 3正しい

    行政手続法14条1項は、不利益処分をする場合には同時にその理由を示さなければならないと定めつつ、ただし書で「当該名宛人に対し当該不利益処分の理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない」と規定しています。条文どおりで妥当です。

  • 4誤り

    判例(最判昭和47年12月5日)は、青色申告に対する更正処分の理由附記の不備という瑕疵は、後の審査裁決で処分理由が明らかにされても治癒されないとしました。「治癒され取消事由とはならない」とする本肢は判例に反し誤りです。

  • 5誤り

    判例(最判平成11年11月19日)は、非公開決定の通知書に理由を付記した場合でも、取消訴訟で当該理由以外の理由(理由の差し替え)を主張することは妨げられないとしました。「許されない」とする本肢は判例に反し誤りです。

解説

正解は肢3です。行政手続法14条1項は、不利益処分をする場合に同時にその理由を示すべきことを定めつつ、ただし書で理由を示さずに処分をすべき差し迫った必要がある場合の例外を認めています。肢1は申請拒否処分にも理由提示義務がある点(8条)、肢2は理由提示が不十分な処分は取り消される点(一級建築士事件・最判平成23年)、肢4は理由附記の不備が後の裁決で治癒されない点(最判昭和47年)、肢5は理由の差し替えが許される場合がある点(最判平成11年)で、いずれも妥当でありません。

ここがポイント

行政手続法は不利益処分(14条)と申請拒否処分(8条)の双方に理由提示義務。理由提示不十分は取消事由(一級建築士事件)。理由附記の不備は裁決で治癒されない(最判昭和47年)。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。