平成29年度 行政書士民法難易度 やや難

平成29年度 行政書士試験 問31 物権的請求権

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「平成29年度 行政書士試験 試験問題」問31(原文のまま・無改変)

物権的請求権等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    建物を譲り受けて現に所有する者が土地所有権を侵害している以上、Aは建物の現所有者Cに対しても収去・退去を請求できます。Bに対してのみとする本肢は誤りです。

  • 2誤り

    判例は、抵当権者は一定の場合に占有者に対し直接自己への明渡しを求めうるとしています(最大判平11.11.24、最判平17.3.10)。『常にできない』とする本肢は誤りです。

  • 3誤り

    占有回収の訴えでは、物の返還とともに損害の賠償も請求できます(民法200条1項)。損害賠償を請求できないとする本肢は誤りです。

  • 4誤り

    賃借権に基づく妨害排除(停止)請求が認められるには、賃借権について対抗要件を備えていることが必要です(民法605条の4)。対抗要件の有無を問わないとする本肢は誤りです。

  • 5正しい

    判例は、建物を譲渡しても自ら登記を保有する者は、引き続き土地所有者に対し建物収去・土地明渡しの義務を負うとしています(最判平6.2.8)。登記名義を保有するEに収去を求めうる本肢が妥当です。

解説

妥当なものを選ぶ問題で、正解は肢5です。判例は、自らの意思に基づいて建物の所有権登記を経由した者は、建物を他に譲渡しても引き続き登記名義を保有する限り、土地所有者に対して建物収去・土地明渡しの義務を免れないとしています(最判平6.2.8)。したがってDは登記名義人Eに収去を求めることができます。誤りの肢は、現所有者Cにも請求できる(肢1)、抵当権者は一定の場合に直接明渡しを求めうる(肢2)、占有回収の訴えで損害賠償も請求できる(肢3)、賃借権に基づく妨害排除には対抗要件が必要(肢4、民法605条の4)といずれも誤りです。

ここがポイント

建物を譲渡しても登記名義を保有する者は土地所有者に収去義務を負う(最判平6.2.8)。賃借権に基づく妨害排除には対抗要件が必要(605条の4)。占有回収の訴えは損害賠償も可(200条)。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。