平成29年度 行政書士試験 問33 賃貸借
Aは自己所有の甲機械(以下「甲」という。)をBに賃貸し(以下、これを「本件賃貸借契約」という。)、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
賃借人が支出した必要費は、賃貸人に対して直ちに償還を請求できます(民法608条1項)。契約終了時まで請求できないのは有益費(同条2項)であり、本肢は誤りです。
- 2誤り
留置権の行使は、被担保債権(修理代金債権)の消滅時効の進行を妨げません(民法300条)。本肢は誤りです。
- 3誤り
Cが甲をBに返還してしまうと、動産保存の先取特権はその動産の占有喪失により行使できなくなります(民法333条の趣旨)。返還後に行使できるとする本肢は誤りです。
- 4誤り
判例(最判平7.9.19の趣旨)は、賃貸借で修理費用を賃借人負担とし賃料が減額されている場合、賃貸人Aは法律上の原因に基づき利益を得ているのであって、CのAに対する事務管理や不当利得返還請求は認められないとします。事務管理に基づく請求を肯定する本肢は誤りです。
- 5正しい
修理費用を賃借人Bの負担とする特約があり賃料が相応に減額されていた場合、Aが受けた利益には法律上の原因があり、CはAに対し不当利得返還を請求できません(最判平7.9.19の趣旨)。これが妥当な記述です。
解説
妥当なものを選ぶ問題で、正解は肢5です。判例は、賃貸借契約で目的物の修繕費用を賃借人の負担とし、これに応じて賃料が減額されている場合、修理をした第三者が賃貸人に対し不当利得返還を請求することはできないとしています。賃貸人が得た利益には賃料減額という法律上の原因があるからです。誤りの肢は、必要費は直ちに償還請求できる(肢1、608条1項)、留置権の行使は被担保債権の時効進行を妨げない(肢2、300条)、目的物返還後は動産保存の先取特権を行使できない(肢3)、同じ理由で事務管理に基づく請求も否定される(肢4)といずれも誤りです。
ここがポイント
賃借人負担+賃料減額の特約があると、賃貸人の利益には法律上の原因があり、修理した第三者から賃貸人への不当利得・事務管理請求は否定される(最判平7.9.19)。必要費は直ちに償還請求可(608条)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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