平成29年度 行政書士民法難易度 やや難

平成29年度 行政書士試験 問34 不法行為

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「平成29年度 行政書士試験 試験問題」問34(原文のまま・無改変)

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解4選択肢 4 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    判例は、良好な景観の恵沢を享受する利益(景観利益)は法律上保護に値するとしています(最判平18.3.30)。法律上保護される利益でないとする本肢は誤りです。

  • 2誤り

    名誉毀損による不法行為は客観的な社会的評価の低下を要し、主観的な名誉感情の侵害は原則として名誉毀損に当たりません。また原状回復(名誉回復処分)は社会的評価の低下の場合に認められるもので、本肢は誤りです。

  • 3誤り

    判例は、輸血拒否の意思決定をする権利は人格権の一内容として尊重されるとし、説明を怠った場合に人格権侵害として不法行為の成立を認めています(最判平12.2.29)。本肢は誤りです。

  • 4正しい

    判例は、医療水準に適った医療がされていれば患者が死亡時点でなお生存していた『相当程度の可能性』が証明されれば、その可能性の侵害につき不法行為が成立するとしています(最判平12.9.22)。これが妥当な記述です。

  • 5誤り

    判例は、後遺症が軽微で収入の減少がない場合には、特段の事情がない限り労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害は認められないとしています(最判昭56.12.22)。一律に認める本肢は誤りです。

解説

妥当なものを選ぶ問題で、正解は肢4です。判例は、医師の過失により適切な医療行為が行われず患者が死亡した場合に、死亡との因果関係まで証明されなくとも、適切な医療が行われていれば死亡時点でなお生存していた『相当程度の可能性』の存在が証明されれば、その可能性を侵害したものとして不法行為が成立するとしています(最判平12.9.22)。誤りの肢は、景観利益は法律上保護に値する(肢1)、主観的名誉感情の侵害は原則名誉毀損に当たらない(肢2)、輸血拒否の意思決定権は人格権として保護される(肢3)、収入減少がなければ原則として財産的損害は認められない(肢5)といずれも判例に反します。

ここがポイント

適切な医療なら死亡時点で生存していた『相当程度の可能性』の侵害で不法行為成立(最判平12.9.22)。景観利益・輸血拒否の自己決定権は法的保護に値する。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する平成29年度(2017年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。