令和2年度 行政書士行政法難易度 やや難

令和2年度 行政書士試験 問21 国家賠償法(判例・権限の不行使等)

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和2年度 行政書士試験 試験問題」問21(原文のまま・無改変)

国家賠償法に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    判例は、宅建業法に基づく監督権限の不行使が国家賠償法上違法となるのは、権限不行使が著しく不合理と認められる場合に限られるとしており、不行使が「直ちに」違法の評価を受けるとする点が誤りです。

  • 2誤り

    指定確認検査機関による建築確認は、本来は地方公共団体の機関が行う事務であり、判例は当該事務が「公権力の行使」に当たると解しています。当たらないとする点が誤りです。

  • 3誤り

    判例は、申請処理が相当の期間を経過しても応答がないという事情のみで直ちに違法となるのではなく、不作為が職務上の法的義務に違反するといえる場合に違法となるとしており、「直ちに」違法とする点が誤りです。

  • 4誤り

    判例は、裁判官の争訟の裁判につき、当該裁判官が違法・不当な目的をもって裁判をしたなど付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したと認め得るような特別の事情がある場合には違法となり得るとしており、違法の評価を受けることはないと言い切る点が誤りです。

  • 5正しい

    判例は、逮捕・勾留や公訴提起はその時点での合理的な嫌疑に基づき適法かを判断すべきで、後に無罪判決が確定したことから直ちに遡って違法となるものではないとしており、本肢が妥当です。

解説

国家賠償法1条1項の「違法」は、結果が後に覆ったかどうかではなく、当該公務員が職務上尽くすべき注意義務に違反したかという行為時の判断で評価されます(職務行為基準説)。無罪判決が確定しても、逮捕・勾留・公訴提起がそれぞれの時点で合理的根拠を備えていたなら違法とはなりません(最判昭和53年10月20日)。肢1〜3はいずれも、本来は「直ちに」ではなく権限不行使が著しく不合理である等の限定が付くべき場面を無限定に違法としており誤りです。肢4は裁判官の責任を全面的に否定しますが、判例は権限の趣旨に明らかに背く特別の事情があれば違法となり得るとしています。したがって妥当なものは肢5です。

ここがポイント

国賠法1条1項の「違法」は行為時の職務義務違反で判断する(職務行為基準説)。無罪確定→遡って起訴等が違法、とは直結しない。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和2年度(2020年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。