令和2年度 行政書士民法難易度 標準

令和2年度 行政書士試験 問32 同時履行の抗弁権

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和2年度 行政書士試験 試験問題」問32(原文のまま・無改変)

同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    取消しによる双方の原状回復義務は同時履行の関係に立ち(判例)、詐欺を行った当事者であっても同時履行の抗弁権を行使できます。行使できないとする点が誤りです。

  • 2誤り

    判例は、造作買取代金債権は造作に関して生じた債権にすぎず、家屋本体の明渡義務とは同時履行の関係に立たないとしています。明渡しを拒めるとする点が誤りです。

  • 3誤り

    判例・条文上、敷金返還債務は家屋の明渡し後に生じ(622条の2第1項1号)、明渡しが先履行であるため、賃借人は敷金返還まで明渡しを拒むことはできません。

  • 4誤り

    目的物の引渡しを要する請負では、報酬支払と目的物の引渡しが同時履行の関係に立ちます。請負人が引渡しに先立って報酬を求め、注文者がこれを拒めないとする点が誤りです。

  • 5正しい

    判例は、一度履行の提供があっても、その提供が継続されない限り相手方は同時履行の抗弁権を失わないとしています。妥当な記述です。

解説

妥当なものを選ぶ問題です。詐欺取消し後の双方の原状回復義務は同時履行の関係に立ち、詐欺者も同時履行の抗弁権を行使できます(肢1誤り)。造作買取代金債権は家屋本体の明渡義務と同時履行の関係に立たず、賃借人は明渡しを拒めません(肢2誤り)。敷金返還は明渡しを停止条件とする後履行であり、賃借人は明渡しを先に行う必要があります(622条の2、肢3誤り)。目的物引渡しを要する請負では報酬支払と引渡しが同時履行の関係に立ちます(肢4誤り)。一度の履行の提供があっても継続されなければ相手方は同時履行の抗弁権を失わない、とするのが判例で、肢5が妥当です。

ここがポイント

造作代金・敷金返還は明渡しと同時履行ではない(明渡しが先)。提供が継続しなければ同時履行の抗弁権は失われない。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和2年度(2020年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。