令和2年度 行政書士試験 問33 賃貸借(借地・賃貸人の地位の移転)
A所有の甲土地をBに対して建物所有の目的で賃貸する旨の賃貸借契約(以下、「本件賃貸借契約」という。)が締結され、Bが甲土地上に乙建物を建築して建物所有権保存登記をした後、AがCに甲土地を売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
賃借人が対抗要件を備えた不動産が譲渡されたときは、賃貸人の地位は原則として譲受人Cに移転します(605条の2第1項)。正しい記述です。
- 2誤り
借地上の建物登記による借地権の対抗力(借地借家法10条1項)は、登記が借地権者本人名義であることを要し、判例は妻など他人名義の建物登記では対抗力を生じないとしています。D名義でも対抗できるとする点が妥当でありません。
- 3正しい
賃貸人たる地位の移転を賃借人に対抗するには、譲受人Cは賃貸物(甲土地)の所有権移転登記を備える必要があり(605条の2第3項)、登記がなければ賃料請求できません。正しい記述です。
- 4正しい
賃貸人の地位がCに移転した場合、必要費償還義務も新賃貸人Cが承継し、Bは賃借物について支出した必要費の償還を直ちにCに請求できます(605条の2第4項、608条1項)。正しい記述です。
- 5正しい
賃貸人の地位が移転すると敷金返還債務も新賃貸人Cに承継され、Bは甲土地を明け渡した後にCに敷金返還を求めることができます(605条の2第4項、622条の2)。正しい記述です。
解説
妥当でないものを選ぶ問題です。対抗要件を備えた賃借権の付着する不動産が譲渡されると、賃貸人の地位は原則として譲受人に移転し(605条の2第1項、肢1正しい)、その移転を賃借人に対抗するには譲受人が所有権移転登記を要します(同条3項、肢3正しい)。必要費償還債務・敷金返還債務も新賃貸人に承継されます(同条4項、肢4・5正しい)。これに対し、借地上建物の登記による借地権の対抗力(借地借家法10条1項)は、借地権者『本人名義』の建物登記であることを要し、判例は妻その他他人名義の登記では対抗力を生じないとしています。したがって肢2が妥当でありません。
ここがポイント
借地借家法10条の建物登記による対抗力は借地権者本人名義が必要(他人・配偶者名義では不可)。賃貸人地位移転には所有権移転登記が必要。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和2年度(2020年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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