令和2年度 行政書士民法難易度 難記述式

令和2年度 行政書士試験 問46 記述式・背信的悪意者からの転得者

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和2年度 行政書士試験 試験問題」問46(原文のまま・無改変)

以下の[設例]および[判例の解説]を読んで記述せよ。 [設例] A所有の甲不動産をBが買い受けたが登記未了であったところ、その事実を知ったCが日頃Bに対して抱いていた怨恨の情を晴らすためもっぱらBを害する目的で甲不動産を二重にCに売却させ、Cは、登記を了した後、これをDに転売して移転登記を完了した。Bは、Dに対して甲不動産の取得を主張することができるか。 [判例の解説] 上記[設例]におけるCはいわゆる背信的悪意者に該当するが、判例はかかる背信的悪意者からの転得者Dについて、無権利者からの譲受人ではなくD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をもってBに対抗しうるとしている。 上記の[設例]について、上記の[判例の解説]の説明は、どのような理由に基づくものか。「背信的悪意者は」に続けて、背信的悪意者の意義をふまえつつ、Dへの譲渡人Cが無権利者でない理由を、40 字程度で記述しなさい。

模範解答

背信的悪意者は、登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない者にすぎず、無権利者ではないから(に続く)。

採点のポイント

  • 背信的悪意者は「登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない者」にすぎないこと(177条の第三者から除外される趣旨)。
  • 背信的悪意者は無権利者ではなく、有効に所有権を取得していること。
  • ゆえに背信的悪意者Cからの転得者Dは無権利者からの譲受人ではなく、D自身が背信的悪意者でない限り対抗できること。

解説

対抗要件をめぐる民法177条の「第三者」とは、当事者・包括承継人以外の者で登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいい、背信的悪意者はこの正当な利益を欠くため177条の第三者から除外されます。しかし背信的悪意者も、売主から有効に所有権を取得した者であって無権利者ではありません。背信的悪意者は、自らとの関係で先に物権変動を生じた者(本問のB)に対して登記の欠缺を主張することが信義則上許されないにすぎず、所有権そのものを有しないわけではないのです。したがって、背信的悪意者Cからの転得者Dは「無権利者からの譲受人」ではなく、D自身が第一買主Bとの関係で別途背信的悪意者と評価されるのでない限り、甲不動産の取得をBに対抗できます(最判平成8年10月29日)。模範解答は「背信的悪意者は」に続けて「登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない者にすぎず、無権利者ではないから」とまとめます。

ここがポイント

背信的悪意者は177条の第三者から除外されるが、登記欠缺を主張する正当な利益を欠くだけで無権利者ではない。ゆえに転得者は背信的悪意者でない限り対抗できる(最判平8・10・29)。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和2年度(2020年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。