令和2年度 行政書士試験 問6 衆議院の解散
衆議院の解散に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
妥当でありません。実際の運用では衆議院は任期満了を待たずに解散されることがほとんどで、任期満了による総選挙はむしろ例外です。記述は事実と逆です。
- 2誤り
妥当でありません。苫米地事件(最大判昭和35年6月8日)は、衆議院の解散のような高度に政治性のある国家行為は統治行為として、たとえ一見極めて明白に違憲無効と認められる場合であっても司法審査の対象外とした(純粋統治行為論)ものであり、『一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き』とする記述は誤りです。
- 3誤り
妥当でありません。投票価値の不均衡が違憲状態とされた後も、是正されないまま衆議院が解散・総選挙が行われた例は現実に存在するため、『例はない』とする記述は事実に反します。
- 4誤り
妥当でありません。天皇の国事行為は、衆議院の解散も総選挙の施行の公示も、すべて内閣の助言と承認を必要とします(憲法7条)。助言と承認を経ずに公示できるとする記述は誤りです。
- 5正しい
妥当な記述です。天皇の国事行為を純粋に形式的・儀礼的なものと捉えるなら、7条3号の解散の宣言に内閣が助言と承認の権能を持つことから直ちに内閣の実質的解散決定権が導かれるわけではない、という論理は7条解散説への批判として整合的です。
解説
妥当なものを選ぶ問題です。肢5は、天皇の国事行為を厳密に形式的・儀礼的なものと解する立場からは、7条3号の『衆議院を解散すること』への助言と承認の権能をもって、内閣が当然に実質的解散決定権を有するとは言い切れない、という論理を述べたもので、いわゆる7条解散説に対する批判的論理として整合的であり妥当です。肢2は苫米地事件判決を不正確に述べており、同判決は解散のような統治行為には一見極めて明白に違憲無効の場合であっても司法審査が及ばないとした点で誤りです。肢1は任期満了選挙が過半数とする点が事実に反し、肢3は不均衡是正前に解散された例がない点が誤り、肢4は天皇の公示にも内閣の助言と承認が必要である点で誤りです。したがって肢5が正解です。
ここがポイント
苫米地事件(最大判昭35・6・8)は解散を統治行為とし司法審査を全面的に否定。天皇の国事行為は形式的儀礼的で、7条解散説には批判(助言承認権から実質的解散権は当然には導けない)がある。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和2年度(2020年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。