令和2年度 行政書士行政法難易度 やや難

令和2年度 行政書士試験 問9 行政行為(処分)の瑕疵・撤回

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和2年度 行政書士試験 試験問題」問9(原文のまま・無改変)

行政行為(処分)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解1選択肢 1 が正しい

肢ごとの解説

  • 1正しい

    妥当な記述です。判例は、無効原因たる瑕疵の『明白性』を、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るかどうかにより判定する客観的明白説の立場をとっています(最判昭和36年3月7日等)。

  • 2誤り

    妥当でありません。判例は、処分の効力発生時期について、特別の規定がない限り意思表示が相手方に『到達した時』と解しており、発信時とする記述は誤りです。

  • 3誤り

    妥当でありません。判例(最判昭和48年4月26日)は、課税処分の過誤が課税要件の根幹に関する重大なもので、徴税行政の安定等の要請を考慮しても被課税者に不利益を甘受させることが著しく不当な特段の事情があるときは、明白性を欠いても当然無効となり得るとしています。

  • 4誤り

    妥当でありません。判例(最判昭和63年6月17日)は、撤回によって被る不利益を考慮しても撤回すべき公益上の必要が高い場合には、法令に撤回の直接の根拠規定がなくても撤回できるとしています。

  • 5誤り

    妥当でありません。判例(最判昭和29年1月21日)は、農地買収計画に対する訴願裁決のように実質的に争訟を裁判する裁決は、裁決庁が自らこれを取り消すことはできないとしています。

解説

妥当なものを選ぶ問題です。肢1は、行政処分の無効原因たる瑕疵の『明白性』について、処分の外形上、客観的に誤認が一見看取し得るかどうかで判断するという客観的明白説を述べたもので、判例に合致し妥当です。肢2は効力発生時期を発信時とする点が、到達時とする判例に反します。肢3は、課税要件の根幹に関わる重大な瑕疵があり著しく不当な特段の事情がある場合には明白性がなくても無効となり得るとした判例に反します。肢4は、撤回の公益上の必要が高ければ直接の根拠規定がなくても撤回できるとした判例に反します。肢5は、実質的に争訟を裁判する裁決は裁決庁が自ら取り消せないとした判例に反します。したがって肢1が正解です。

ここがポイント

無効の明白性は客観的明白説(外形上一見看取し得るか)。課税処分は根幹的瑕疵+著しい不当があれば明白性なしでも無効。利益処分の撤回・準司法的裁決の取消し可否に注意。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和2年度(2020年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。