令和3年度 行政書士試験 問27 意思表示(到達主義・公示・申込み後の制限行為能力など)
意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
前段(受領拒絶の到達擬制)は正しいですが、後段が誤り。判例は、内容証明郵便の不在留置・還付の事案でも、社会通念上了知可能な状態に置かれたといえる場合は到達と認めうるとしています(最判平成10年6月11日)。
- 2正しい
妥当な記述。公示による意思表示は、最後に官報掲載した日(またはそれに代わる掲示を始めた日)から2週間を経過した時に相手方に到達したものとみなされますが、表意者が相手方を知らないこと等について過失があったときは、その効力を生じません(民法98条3項)。
- 3誤り
改正民法は承諾発信主義(旧526条1項)を廃止しました。現行法では契約は承諾の意思表示の到達によって成立します(民法97条1項・522条1項)。
- 4誤り
民法97条3項は、意思表示の発信後に表意者が制限行為能力者となっても効力を妨げられない旨を定めますが、「申込者が制限行為能力者になり相手方が悪意で承諾した場合に取消し可能」とする条文はありません。本肢の後段は条文にない加重要件です。
- 5誤り
民法98条の2は、意思表示の相手方が受領時に意思無能力者または未成年者・成年被後見人であったときは到達を「対抗できない」と定めますが、被保佐人・被補助人は含まれないため「制限行為能力者」と広くする本肢は不正確です。
解説
公式発表どおり正解は肢2です。公示による意思表示は、最後の官報掲載または代替掲示開始から2週間で到達したものとみなされますが、表意者が相手方の所在を知らないことに過失があるときは効力を生じません(民法98条3項)。承諾発信主義は改正で廃止された(肢3)こと、改正法での発信後の事情変更ルール(肢4)、98条の2の対抗不能の対象は未成年者・成年被後見人・意思無能力者であって被保佐人・被補助人を含まない(肢5)ことを押さえます。
ここがポイント
公示による意思表示は2週間で到達擬制、ただし所在不知について過失があれば効力を生じない(民98条3項)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和3年度(2021年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。