令和3年度 行政書士試験 問29 物権的請求権(建物収去土地明渡・抵当権・所有権留保)
物権的請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
妥当。最判平成6年2月8日は、登記名義を自己の意思で残した旧所有者は、土地所有者に対して建物収去義務を免れないとしています。
- 2正しい
妥当。未登記建物の場合、現実に建物を所有・支配しなくなった旧所有者は土地所有者に対する収去義務を負わないとされます(判例)。
- 3正しい
妥当。最判昭和57年3月12日は、工場抵当法所定の動産が無断搬出された場合、即時取得がない限り抵当権者は工場への戻入れを請求できるとしました。
- 4正しい
妥当。最判平成17年3月10日は、競売妨害目的の賃借権設定により交換価値実現が困難な場合、抵当権者は抵当権に基づく妨害排除請求ができるとしました。
- 5誤り
妥当でない。最判平成21年3月10日は、留保所有権者は、原則として被担保債権の弁済期到来後に初めて土地所有者に対する撤去義務を負うとしており、弁済期到来の前後を問わず義務を免れないとする点が誤りです。
解説
正解は肢5です。最判平成21年3月10日は、所有権留保の留保所有権者は留保所有権が担保の実行可能性を支える段階に入った後、すなわち被担保債権の弁済期到来後に、土地所有者に対する妨害状態についての撤去義務(物権的請求権の相手方となる地位)を負うと判断しました。弁済期前は通常、買主が使用収益権原を有しているため、留保所有権者は撤去義務を負いません。他の肢はいずれも判例どおりの妥当な記述です。
ここがポイント
所有権留保の留保所有者は、被担保債権の弁済期到来後に初めて撤去義務(物権的請求の相手方)を負う(最判平21・3・10)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和3年度(2021年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。