令和3年度 行政書士民法難易度 標準

令和3年度 行政書士試験 問30 留置権

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和3年度 行政書士試験 試験問題」問30(原文のまま・無改変)

留置権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解3選択肢 3 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    善管注意義務は自己の財産に対する注意よりも「重い」注意です。軽減されているとする本肢は誤りです(民法298条1項)。

  • 2誤り

    前段は正しいですが、無断使用があっても債務者は留置権の消滅請求ができるにとどまります(民法298条3項)。「直ちに消滅する」とする点が誤り。

  • 3正しい

    妥当。判例は、不法占有者となった後に支出した費用については、占有が不法行為によって始まった場合に該当し(民法295条2項類推)、留置権は成立しないとしています(最判昭和41年3月3日・最判昭和46年7月16日)。

  • 4誤り

    妥当でない。判例(最判昭和47年11月16日)は、売主は買主に対する代金債権を被担保債権として、転得者である第三者に対しても留置権を行使できるとしています。

  • 5誤り

    妥当でない。最判昭和43年11月21日は、Eの損害賠償請求権は売主Dに対する債権であり、目的物に関する物に関して生じた債権とはいえず、また第三取得者Fとの関係では牽連性を欠くため、留置権を行使できないとしました。

解説

正解は肢3です。賃借人が解除後(=占有が不法行為により始まった後)に支出した費用については、民法295条2項により、または同項の類推適用により留置権の成立が否定されます。善管注意義務は自己の財産に対する注意より重く、無断使用があっても消滅請求にとどまる点、未払代金を被担保とする留置権が転得者にも対抗できる点、二重売買において後の買主に対し損害賠償請求権で留置できないとされる点もあわせて確認します。

ここがポイント

占有が不法行為で始まった場合は留置権不成立(295条2項)。違反使用は直ちに消滅ではなく消滅請求事由。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和3年度(2021年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-08)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。