令和3年度 行政書士試験 問9 行政裁量(教科書検定・公務員懲戒・水俣病認定)
行政裁量に関する次のア~オの記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。 ア.教科書検定の審査判断は学術的・教育的な専門技術的判断であるから、事柄の性質上、文部大臣の合理的な裁量に委ねられる。 イ.国家公務員懲戒処分において、裁判所は懲戒権者が当該処分に当たって行った事実認定に拘束される。 ウ.水俣病の認定は、罹患の有無という客観的事実を確認する行為であって、処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではない。 エ.生活保護の保護基準改定に際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要の存否を判断するに当たって、厚生労働大臣に政策的な見地からの裁量権は認められない。 オ.学校施設の目的外使用について、学校教育上支障がない集会開催申請は、集会の自由の趣旨に鑑み、これを許可しなければならない。
肢ごとの解説
- 1正しい
ア(第一次家永教科書訴訟最判平5.3.16)とウ(水俣病認定義務付け訴訟最判平25.4.16)はいずれも判例の判旨に沿い、本肢の組合せが正解です。
- 2誤り
オは呼吸器系学校施設使用拒否事件(最判平18.2.7)が学校長の裁量を認めているため誤りです。
- 3誤り
イは神戸税関職員事件等で裁判所は懲戒権者の事実認定に拘束されず独自に判断できるとしており誤りです。
- 4誤り
エは老齢加算廃止事件(最判平24.2.28)で厚生労働大臣の政策的裁量を認めており、判例と逆です。
- 5誤り
オの誤りに加えエも誤りで、組合せ全体が成立しません。
解説
正解は肢1です。アは第一次家永教科書訴訟、ウは水俣病認定義務付け訴訟の各最高裁判決の判旨そのままで、教科書検定は専門技術的裁量、水俣病認定は客観的事実の確認で裁量ではない、と整理されます。イは懲戒処分でも裁判所は事実認定を独自に行え、エは生活保護基準改定に厚労大臣の政策裁量が認められ、オは学校施設目的外使用に管理者の裁量があり、いずれも判例と反します。
ここがポイント
「専門技術的裁量=認める/客観的事実の確認=裁量否定」が分水嶺。教科書検定・水俣病認定は典型例。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和3年度(2021年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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