令和4年度 行政書士行政法難易度 標準

令和4年度 行政書士試験 問10 行政調査

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和4年度 行政書士試験 試験問題」問10(原文のまま・無改変)

行政調査に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    所持品検査について警察官職務執行法に明文の規定はなく、判例(最判昭和53年6月20日・米子銀行強盗事件)が職務質問に付随する所持品検査の許容性を判示しています。『規定されている』とする本肢は誤りです。

  • 2誤り

    自動車一斉検問について判例(最決昭和55年9月22日)は、外観上不審な車両に限らず、任意手段により短時分の停止を求めることも一定の要件の下で適法としています。『外観上不審な車両に限って』とする本肢は誤りです。

  • 3誤り

    行政手続法は行政調査について事前通知を一般的に義務づける規定を置いていません。行政調査は同法の適用対象として一般的な手続規定が整備されているわけではなく、本肢は誤りです。

  • 4誤り

    判例(最決平成16年1月20日等)は、質問検査権が犯罪捜査のために認められたものでないとしても、その調査で適法に取得した資料を後に犯則事件等の証拠として利用することが直ちに許されないわけではないとしています。本肢は誤りです。

  • 5正しい

    罪刑法定主義(憲法31条)の要請から、調査拒否に刑罰を科すには、調査の根拠規定とは別に、刑罰を科すことについて法律の明文の根拠が必要です。本肢は妥当です。

解説

肢5が妥当です。行政調査に応じない者に対して刑罰(間接強制)を科すには、罪刑法定主義の要請から、調査権限の根拠規定とは別に、罰則について法律の明文の根拠規定が必要です。他方、肢1(所持品検査は明文規定ではなく判例による)、肢2(自動車検問は不審車両に限られない=最決昭和55年)、肢3(行政手続法に事前通知の一般的義務はない)、肢4(質問検査で得た資料の犯則事件への利用が直ちに否定されるわけではない)は、いずれも法令または判例に照らし誤りです。行政調査の根拠と限界に関する基本知識が問われています。

ここがポイント

調査拒否に刑罰を科すには、調査の根拠規定とは別に罰則について法律の明文の根拠を要する(罪刑法定主義)。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和4年度(2022年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。