令和4年度 行政書士民法難易度 難

令和4年度 行政書士試験 問28 占有権

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和4年度 行政書士試験 試験問題」問28(原文のまま・無改変)

占有権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

正解2選択肢 2 が正しい

肢ごとの解説

  • 1正しい

    即時取得の要件のうち平穏・公然・善意は186条1項で推定され、無過失も188条により前主の占有が適法と推定されることから即時取得者に推定が及ぶとされます(判例)。妥当です。

  • 2誤り

    取得時効における所有の意思は権原の性質により客観的に定まり、占有者が所有の意思を否定する側(時効を争う者)が他主占有権原または他主占有事情を立証すべきです。他主占有事情が証明されれば所有の意思は否定されうるため、これがあっても所有の意思が認められるとする本肢は妥当でなく、正解です。

  • 3正しい

    善意の占有者は占有物から生ずる果実を取得でき(189条1項)、無権利者から買い受け所有者と信じて占有を開始したCは善意占有者として収穫物を取得できます。妥当です。

  • 4正しい

    受寄者Bも占有者であり、占有を侵奪された場合は占有回収の訴え(200条)により侵奪者Cに対し返還を請求できます。妥当です。

  • 5正しい

    指図による占有移転(184条)の要件を満たし、AからCへの引渡しが認められます。妥当です。

解説

正解(妥当でないもの)は肢2です。取得時効における『所有の意思』は占有取得の原因たる権原の性質により客観的に決まり、186条1項で推定されます。これを覆すには、時効取得を争う者(A)が、占有が他主占有権原に基づくこと、または外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったといえる他主占有事情を立証すれば足ります。したがって、他主占有事情が証明されれば所有の意思は否定されうるのであって、これが証明されてもなお所有の意思が認められるとする肢2は妥当でありません。即時取得者の善意無過失の推定(肢1)、善意占有者の果実取得(肢3)、受寄者の占有回収の訴え(肢4)、指図による占有移転(肢5)はいずれも妥当です。

ここがポイント

取得時効の所有の意思は権原の性質で客観的に判断。時効を争う者は他主占有権原のほか『他主占有事情』の立証でも所有の意思を否定できる。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和4年度(2022年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。