令和4年度 行政書士試験 問29 根抵当権
機械部品の製造販売を行うAは、材料供給者Bと継続的取引関係を結ぶにあたり、A所有の甲土地に、極度額5,000万円、被担保債権の範囲を「BのAに対する材料供給にかかる継続的取引関係から生じる債権」とする第1順位の根抵当権(以下「本件根抵当権」という。)をBのために設定してその旨の登記をした。その後、AはCから事業資金の融資を受け、その債務の担保として甲土地に第2順位の普通抵当権をCのために設定した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、明らかに誤っているものはどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
元本確定期日の定めがないとき、設定者Aは設定から3年経過後に確定請求でき(398条の19第1項)、根抵当権者Bはいつでも確定請求できます(同条2項)。妥当です。
- 2正しい
元本確定前の被担保債権の範囲の変更には後順位抵当権者Cの承諾は不要ですが(398条の4第2項)、確定前に登記をしないと変更しなかったものとみなされます(同条3項)。妥当です。
- 3正しい
元本確定後に設定者Aは、現に存する債務額と以後2年分の利息等を加えた額への極度額減額を請求できます(398条の21)。妥当です。
- 4誤り
根抵当権は普通抵当権と異なり、利息・損害金についても極度額の範囲内でのみ優先弁済を受けられ、極度額を超える部分は優先弁済を受けられません(398条の3第1項)。極度額を超えても最後の2年分の利息等を行使できるとする本肢は明らかに誤りで、正解です。
- 5正しい
元本確定前の根抵当権には随伴性がなく、被担保債権の一部を譲り受けたDは、その債権について根抵当権を行使できません(398条の7第1項)。妥当です。
解説
正解(明らかに誤っているもの)は肢4です。根抵当権は極度額の限度で被担保債権を担保するものであり、普通抵当権の375条(利息等は最後の2年分に限定)と異なって、元本・利息・損害金を通じて極度額の範囲内であれば優先弁済を受けられる反面、極度額を超える部分はおよそ優先弁済を受けられません(398条の3第1項)。したがって、確定元本が極度額に満たない場合でも、極度額を超えて最後の2年分の利息等を行使できるとする肢4は明らかに誤りです。確定請求(肢1)、被担保債権の範囲変更(肢2)、極度額減額請求(肢3)、確定前の随伴性の否定(肢5)はいずれも正しい記述です。
ここがポイント
根抵当権は極度額の枠内なら元本・利息・損害金を通じて優先弁済を受けられるが、極度額を超える部分は一切優先弁済を受けられない(普通抵当の375条「最後の2年分」とは異なる)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和4年度(2022年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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