令和4年度 行政書士試験 問4 職業選択の自由(医薬品ネット販売規制)
薬局を営むXは、インターネットを介した医薬品の通信販売を始めたが、法律は一定の種類の医薬品の販売については、薬剤師が対面で情報の提供および薬学的知見に基づく指導を行うことを求めている。そこでXは、この法律の規定が違憲であり、この種の医薬品についてもネットで販売する権利が自らにあることを主張して出訴した。この問題に関する最高裁判所の判決の趣旨として、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
前段(職業選択の自由のみならず職業活動の内容・態様の自由も尊重に値する)自体は薬事法判決の一般論として誤りではありませんが、本件医薬品ネット販売規制に関する最高裁判決(最判平成25年1月11日)の趣旨として本問が問う中核部分ではなく、妥当な肢とは評価されません。
- 2正しい
本件判決は、種々の考慮要素を比較考量して規制の必要性・合理性を判断するのは第一次的に立法府の権限と責務であり、その判断が合理的裁量の範囲にとどまる限り裁判所はこれを尊重する、という判断枠組みを示しており、最高裁判決の趣旨として妥当です。
- 3誤り
本件規制を職業選択の自由そのものへの制限と捉えて許可制と同様に厳格審査すべきとする点が誤りです。本件は職業活動の態様(販売方法)の規制であり、最高裁はそこまでの厳格審査を要求していません。
- 4誤り
消極目的規制について『より制限的でない他の手段』がないことを要求する厳格な合理性の基準を一律に当てはめる枠組みは、本件判決の判示として妥当ではありません。最高裁は本件で立法裁量を尊重する枠組みを採っています。
- 5誤り
本件規制を積極的な社会経済政策(積極目的規制)と性質づける点が妥当ではありません。医薬品の安全性確保という規制目的は積極目的政策とはいえず、説明として整合しません。
解説
本問は、いわゆる医薬品ネット販売規制をめぐる最判平成25年1月11日(およびその基礎となる薬事法距離制限事件判決の枠組み)を題材としています。最高裁は、規制の合憲性判断に当たり問題となる諸々の考慮要素を比較考量するのは第一次的に立法府の権限・責務であり、規制措置の内容・必要性・合理性についての立法府の判断が合理的裁量の範囲にとどまる限り、裁判所はこれを尊重するという判断枠組みを示しました。したがって肢2が判決の趣旨として妥当です。肢3〜5は規制目的の性質づけや審査基準の当てはめを誤っており妥当ではありません。
ここがポイント
職業活動の態様規制の合憲性は、立法府の合理的裁量を尊重する枠組みで判断される(規制目的二分論を機械的に当てはめない)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和4年度(2022年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。