令和4年度 行政書士試験 問45 記述式・無権代理人を本人が相続(民法)
Aが所有する甲不動産について、Aの配偶者であるBが、Aから何ら代理権を与えられていないにもかかわらず、Aの代理人と称して甲不動産をCに売却する旨の本件売買契約を締結した後、Bが死亡してAが単独で相続するに至った。CがAに対して、売主として本件売買契約を履行するよう求めた場合に、Aは、これを拒みたいと考えているが、認められるか。民法の規定および判例に照らし、その許否につき理由を付して40字程度で記述しなさい。
模範解答
本人が無権代理人を相続した場合、本人は追認を拒絶でき、履行を拒むことが認められる。
採点のポイント
- 本問は本人Aが無権代理人Bを相続した(本人相続型)事案であること。
- 本人としての追認拒絶権は信義則に反せず行使できること(最判昭和37年4月20日)。
- 結論として、Aは追認を拒絶でき、本件売買契約の履行を拒むことが認められること。
解説
無権代理人を本人が相続した場合(本人相続型)について、判例(最判昭和37年4月20日)は、本人が自ら無権代理行為をしたわけではない以上、本人が相続によって当然に無権代理行為の責任を負うものではなく、本人の資格で追認を拒絶しても何ら信義則に反するものではないとしています。無権代理人を相続した本人は、本人の地位と無権代理人の地位を併有しますが、本人としての追認拒絶権を失うわけではありません。これは、無権代理人が本人を相続した場合(最判昭和40年6月18日)に、無権代理人が本人の資格で追認を拒絶することが信義則上許されないとされるのと対照的な扱いです。したがってAは、本人として追認を拒絶でき、Cからの履行請求を拒むことが認められます。
ここがポイント
本人が無権代理人を相続した場合、本人は追認拒絶でき、これは信義則に反しない(最判昭37・4・20)。無権代理人が本人を相続した場合に追認拒絶が許されない(最判昭40・6・18)のと逆の結論になる。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和4年度(2022年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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