令和4年度 行政書士民法難易度 やや難記述式

令和4年度 行政書士試験 問46 記述式・賃借人による不法占有者への請求(民法)

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和4年度 行政書士試験 試験問題」問46(原文のまま・無改変)

Aは、工場を建設するために、Bから、Bが所有する甲土地(更地)を、賃貸借契約締結の日から賃借期間30年と定めて賃借した。ただし、甲土地の賃借権の登記は、現在に至るまでされていない。ところが、甲土地がBからAに引き渡される前に、甲土地に何らの権利も有しないCが、AおよびBに無断で、甲土地に塀を設置したため、Aは、甲土地に立ち入って工場の建設工事を開始することができなくなった。そこで、Aは、Bに対応を求めたが、Bは何らの対応もしないまま現在に至っている。Aが甲土地に工場の建設工事を開始するために、Aは、Cに対し、どのような請求をすることができるか。民法の規定および判例に照らし、40字程度で記述しなさい。

模範解答

Bの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使し、塀の収去と土地の明渡しを請求できる。

採点のポイント

  • Aは賃借権の登記がなく対抗要件を備えていないため、賃借権自体に基づく妨害排除はできないこと。
  • 賃借権を保全するため、所有者Bの所有権に基づく妨害排除請求権を債権者代位(民法423条の転用)すること。
  • Cに対し塀の収去(妨害排除)および甲土地の明渡しを請求できること。

解説

Aは甲土地の賃借権について登記を備えておらず、また未だ引渡しも受けていないため対抗要件を有しません。そのため、不動産賃借権に基づく妨害排除請求(民法605条の4)の要件を満たさず、賃借権そのものを根拠としてCに直接請求することはできません。そこで判例(大判昭和4年12月16日等)が認める債権者代位権の転用により、AはBに対して有する賃貸借契約上の使用収益させる債権(土地を使用させる債権)を保全するため、無資力要件を要せず、所有者Bが不法占有者Cに対して有する所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使することができます(民法423条の7はこれを明文化)。これにより、AはCに対し、塀の収去と甲土地の明渡しを請求できます。賃借権の対抗要件がない以上、賃借権に基づく妨害排除ではなく、所有者の物権的請求権の代位行使による点が解答の核心です。

ここがポイント

対抗要件のない不動産賃借人は、賃貸人の所有権に基づく妨害排除請求権を債権者代位(民法423条の転用・423条の7)して、不法占有者に妨害排除・明渡しを求めうる。無資力要件は不要。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和4年度(2022年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。