令和5年度 行政書士試験 問25 空港・航空関連施設をめぐる裁判
空港や航空関連施設をめぐる裁判に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
新潟空港訴訟は、航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受ける飛行場周辺住民に、定期航空運送事業免許取消訴訟の原告適格を認めました。原告適格を認めないとする本肢は判例と逆であり、誤りです。
- 2誤り
大阪空港訴訟(最大判昭和56・12・16)は、国営空港の離着陸の差止めを民事上の請求として求める訴えは、不可避的に運輸大臣の航空行政権の行使の取消変更等を求める結果となるから不適法であるとしました。適法とする本肢は誤りです。
- 3正しい
厚木基地訴訟(最判平成28・12・8)は、周辺住民が自衛隊機の運航差止めを求める訴えを行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としての差止訴訟と捉え、これを適法としました(本案では一部の請求のみ認容)。本肢が妥当な記述です。
- 4誤り
成田新法訴訟(最大判平成4・7・1)は、憲法31条の保障が行政手続にも及び得ることを認めましたが、行政手続は刑事手続と性質が異なり常に事前手続が必要とは限らないとして、同法の規定を合憲としました。違憲としたとする本肢は誤りです。
- 5誤り
成田新幹線訴訟(最判昭和53・12・8)は、工事実施計画認可は監督手段としての性質を持つにとどまり、付近住民は認可処分の取消しを求める法律上の利益を有しないとして原告適格を否定しました。原告適格を認めたとする本肢は誤りです。
解説
妥当なものは肢3です。厚木基地航空機運航差止訴訟(最判平成28・12・8)で最高裁は、周辺住民が自衛隊機の夜間運航等の差止めを求める訴えを行政事件訴訟法上の法定抗告訴訟としての差止訴訟と位置づけ、これを適法と認めました(本案ではごく一部の請求のみ認容)。新潟空港訴訟は周辺住民の原告適格を認め(肢1は逆)、大阪空港訴訟は民事差止めの訴えを不適法としています(肢2)。成田新法訴訟は憲法31条の保障が行政手続にも及び得ることを認めつつ同法を合憲とし(肢4)、成田新幹線訴訟は付近住民の原告適格を否定しました(肢5)。空港・基地をめぐる主要判例の結論を正確に区別する問題です。
ここがポイント
厚木基地訴訟(最判平28・12・8)は自衛隊機運航差止めを法定抗告訴訟の差止訴訟として適法とした。大阪空港訴訟は民事差止めを不適法、新潟空港訴訟は周辺住民の原告適格を肯定、成田新法訴訟は31条適用を認めつつ合憲。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和5年度(2023年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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