令和5年度 行政書士試験 問30 連帯債務
連帯債務者の一人について生じた次のア〜オの事由のうち、民法の規定に照らし、他の連帯債務者に対して効力が生じないものの組合せとして、正しいものはどれか。 ア 連帯債務者の一人と債権者との間の混同 イ 連帯債務者の一人がした代物弁済 ウ 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者がした相殺の援用 エ 債権者がした連帯債務者の一人に対する履行の請求 オ 債権者がした連帯債務者の一人に対する債務の免除
肢ごとの解説
- 1誤り
アの混同は弁済とみなされ絶対的効力を生じ(民法440条)、イの代物弁済も弁済と同様に債務を消滅させる絶対的効力事由です。いずれも他の連帯債務者に効力が及ぶため、『効力が生じないもの』の組合せとして誤りです。
- 2誤り
アの混同は絶対的効力(440条)、ウの相殺の援用も債務を消滅させる絶対的効力事由です(436条)。いずれも他の連帯債務者に効力が及ぶため、本肢は誤りです。
- 3誤り
イの代物弁済は弁済と同視され絶対的効力を生じます。エの履行の請求は現行民法では相対的効力にとどまりますが、イが絶対的効力であるため、この組合せは正しくありません。
- 4誤り
ウの相殺の援用は絶対的効力(436条)、オの免除は現行民法では相対的効力にとどまります。ウが絶対的効力であるため、『効力が生じないもの』の組合せとしては正しくありません。
- 5正しい
エの履行の請求とオの免除は、いずれも現行民法では相対的効力事由にとどまり、他の連帯債務者には効力が及びません(民法441条本文)。したがって本肢が正しい組合せです。
解説
正解は肢5(エ・オ)です。現行民法は連帯債務について相対的効力を原則とし(民法441条本文)、絶対的効力事由を限定列挙しています。弁済・代物弁済(イ)、相殺(ウ、436条)、更改(438条)、混同(ア、440条)は債務を消滅させる絶対的効力事由であり、他の連帯債務者にも効力が及びます。これに対し、履行の請求(エ)と免除(オ)は、平成29年改正により相対的効力事由とされ、他の連帯債務者には効力が及びません。したがって、他の連帯債務者に効力が生じないものはエ・オの組合せとなります。改正で履行請求・免除・時効の完成が相対的効力に変更された点を押さえる問題です。
ここがポイント
連帯債務は相対的効力が原則(441条)。絶対的効力は弁済・代物弁済・相殺(436条)・更改(438条)・混同(440条)に限定。改正で履行の請求・免除・時効完成は相対的効力に変更された。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和5年度(2023年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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