令和5年度 行政書士試験 問4 国務請求権
国務請求権に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
誤りです。請願法上、請願を受けた機関は誠実に処理する義務を負いますが(請願法5条)、請願の内容を審理し判定する法的義務までは課されていません。「審理および判定する法的義務」とする点が誤りです。
- 2誤り
誤りです。判例(在宅投票制度廃止違憲訴訟・最判昭和60年11月21日等)は、立法行為・立法不作為が国家賠償の対象となるのは、容易に想定し難い例外的場合に限られるとしつつ、立法行為一般を当然に対象外とはしておらず、本肢の整理は誤りです。
- 3正しい
正しい記述です。裁判を受ける権利は、民事では裁判所への出訴権という請求権的側面をもつ一方、刑事では裁判所の裁判によらなければ刑罰を科されないという自由権的側面(憲法32条・37条)をもちます。本肢はその刑事面を的確に述べています。
- 4誤り
誤りです。判例(最決昭和31年12月24日)は、少年審判の不処分決定は刑事補償法上の「無罪の裁判」には当たらないとしています。不処分決定を「無罪の裁判」とする本肢は判例と反します。
- 5誤り
誤りです。判例(最大決昭和35年7月6日)は、純然たる訴訟事件については公開の法廷における対審・判決によらなければならないとしており、これによらない柔軟な処理を許すとする本肢は判例と反します。
解説
正解は肢3です。裁判を受ける権利(憲法32条)は二面性をもち、民事・行政事件では国家に対し裁判を求める請求権的(受益権的)側面を、刑事事件では裁判所の裁判によらなければ刑罰を科されないという自由権的側面(37条1項とも結びつく)をもちます。肢3はこの自由権的側面を正しく述べています。肢1は請願の審理・判定義務まではない点、肢4は少年の不処分決定が刑事補償の「無罪の裁判」に当たらない点(判例)、肢5は純然たる訴訟事件は公開対審・判決を要するとした最大決昭和35年7月6日に反する点で、それぞれ誤りです。
ここがポイント
裁判を受ける権利は民事=請求権的、刑事=自由権的の二面性。純然たる訴訟事件は公開対審・判決が必須(最大決昭和35年)。少年の不処分決定は刑事補償の対象外。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和5年度(2023年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。