令和6年度 行政書士試験 問10 行政法の一般原則(信義則等)
行政法における一般原則に関する最高裁判所の判例について説明する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
個室付浴場事件(最判昭和53年6月16日等)は、専ら営業阻止を目的とする児童福祉施設認可処分を行政権の濫用に当たる違法な処分とし、これを理由とする浴場営業を風営法違反として処罰することはできないとしました。認可を適法とし営業を当然違法とする本肢は判例に反し誤りです。
- 2誤り
紀伊長島町水道水源保護条例事件(最判平成16年12月24日)は、事業者の地位を不当に害することのないよう協議を尽くすべき配慮義務に反した認定処分を違法としました。配慮要請が違法理由とならないとする本肢は判例に反し誤りです。
- 3誤り
酒類販売業者青色申告課税事件(最判昭和62年10月30日)は、租税法律関係でも信義則の適用が全く否定されるわけではなく、納税者の信頼を保護すべき特段の事情がある場合には例外的に適用の余地があるとしました。『特段の事情の有無にかかわらず』適用が認められないとする本肢は誤りです。
- 4正しい
宜野座村工場誘致事件(最判昭和56年1月27日)の判示どおりです。施策の継続に動機付けられて活動に入った者が看過し得ない積極的損害を被る場合、補償等の措置を講じずやむを得ない客観的事情なく施策を変更することは、信頼関係を不当に破壊するものとして違法となりえます。妥当です。
- 5誤り
在ブラジル被爆者健康管理手当訴訟(最判平成19年2月6日)は、誤った通達に従い手当支給を打ち切った地方公共団体が消滅時効を主張することは、信義則に反し許されないとしました。時効主張が信義則に反しないとする本肢は判例に反し誤りです。
解説
本問は行政法の一般原則(信義則・権限濫用)に関する重要判例の集合です。肢1(個室付浴場・権限濫用)、肢2(紀伊長島町・配慮義務)、肢5(被爆者手当・時効と信義則)はいずれも判例の結論を逆にしており誤りです。肢3も、租税法律関係における信義則は『特段の事情』があれば例外的に適用余地があるとした昭和62年判例の趣旨に反します。妥当なのは肢4で、宜野座村工場誘致事件(最判昭和56年1月27日)の判示どおり、施策変更による信頼破壊が一定要件のもとで違法となることを述べています。
ここがポイント
宜野座村工場誘致事件=施策変更が信頼関係を不当に破壊すれば違法。租税法律関係でも信義則は『特段の事情』があれば例外的に適用余地あり。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。