令和6年度 行政書士試験 問11 行政手続法(不利益処分・聴聞)
会社Xは、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という。)に基づく免許を受けて不動産取引業を営んでいる。ところが、Xの代表取締役であるAが交通事故を起こして、歩行者に重傷を負わせてしまった。その後、自動車運転過失傷害の罪でAは逮捕され、刑事裁判の結果、懲役 1 年、執行猶予 4 年の刑を受けて、判決は確定した。宅建業法の定めによれば、法人の役員が「禁錮以上の刑」に処せられた場合、その法人の免許は取り消されるものとされていることから、知事YはXの免許を取り消した(以下「本件処分」という。)。 この事例への行政手続法の適用に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
本件は届出に対する応答としてなされる処分ではなく、役員の刑事処分を理由とする職権による免許取消しです。不利益処分の定義(行政手続法2条4号)に当たり、本肢の前提が誤っています。
- 2誤り
行政手続法3条1項6号の適用除外は『刑事事件に関する法令に基づき検察官等がする処分』等を指すものであり、本件免許取消しは知事(行政庁)がする処分で、これには当たりません。本肢は誤りです。
- 3誤り
地方公共団体の機関がする処分でも、その根拠規定が法律に置かれている場合には行政手続法の処分に関する規定が適用されます(行政手続法3条3項参照)。本件は宅建業法(法律)が根拠であり適用されるため、本肢は誤りです。
- 4誤り
審査基準は『申請に対する処分』について定めるものです(行政手続法5条)。本件は不利益処分であり、定めるべきは(努力義務としての)処分基準です。審査基準を定めるべきとする本肢は誤りです。
- 5正しい
行政手続法13条2項4号により、法令上必要とされる資格が失われたことが判明した場合に必ずすることとされ、その事実が客観的資料により直接証明されたときにする処分は、聴聞・弁明の機会の付与の対象外です。本件はこれに当たり、聴聞は不要であって妥当です。
解説
本件は、役員が禁錮以上の刑に処せられたことを理由とする宅建業免許の取消しで、行政手続法上の不利益処分に当たります。地方公共団体の機関がする処分でも根拠が法律にあれば同法が適用され(肢3誤り)、刑事処分の適用除外にも該当しません(肢2誤り)。不利益処分に定めるのは処分基準であって審査基準ではありません(肢4誤り)。ポイントは肢5で、行政手続法13条2項4号は『法令上必要とされる資格が失われた』ことが判明し、その事実が客観的資料により直接証明されてする処分について、聴聞・弁明の機会の付与を不要としています。禁錮以上の刑の確定はまさにこれに当たるため、聴聞は不要であり肢5が妥当です。
ここがポイント
行政手続法13条2項4号:法令上の資格喪失が客観的資料で直接証明される処分は聴聞・弁明不要。不利益処分に定めるのは処分基準(審査基準ではない)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
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