令和6年度 行政書士試験 問21 国家賠償法1条
国家賠償法 1 条に基づく責任に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
判例(最決平成17年6月24日)は、指定確認検査機関による確認は、本来は地方公共団体の建築主事が行うべき事務を代行するものであり、確認に関する事務は当該地方公共団体の事務に帰属しうるとしています。したがって地方公共団体が国家賠償法1条1項の責任を負う余地があり、「責任を負うことはない」と言い切る本肢は妥当ではありません。
- 2誤り
公務員個人は被害者に対して直接には賠償責任を負わないというのが確立した判例です。故意・重過失の場合でも被害者は公務員個人を訴えることはできず、国・公共団体が賠償した後に当該公務員へ求償できるにとどまります。「公務員個人が被害者に対して直接に賠償責任を負う」とする本肢は誤りです。
- 3正しい
判例(最判令和2年7月14日)は、複数の公務員が共同して故意により違法に加えた損害を国・公共団体が賠償した場合、各公務員が負う国家賠償法1条2項の求償債務は、共同不法行為における求償の趣旨に照らして連帯債務になると解しています。本肢は妥当です。
- 4誤り
判例(最判昭和31年11月30日)は、公務員が自己の利益を図る意図であっても、客観的に職務執行の外形をそなえる行為によって他人に損害を加えた場合には「職務を行うについて」の要件を満たすとする外形標準説を採っています。要件に該当しないとする本肢は誤りです。
- 5誤り
都道府県警察の警察官による交通犯罪捜査は当該都道府県の事務であり、判例(最判昭和54年7月10日)も加害行為につき賠償責任を負うのは当該都道府県であるとしています。賠償責任を負うのは国であり都道府県は負わないとする本肢は誤りです。
解説
国家賠償法1条をめぐる判例知識を横断的に問う問題です。正解の肢3は、令和2年の最高裁判決が示した「複数公務員の故意の共同不法行為について、国・公共団体が賠償した後の各公務員の求償債務は連帯債務である」という新しめの判例知識を問うものです。誤りの肢のうち、公務員個人は被害者に直接責任を負わない点(肢2)、外形標準説(肢4)、加害事務の帰属主体が賠償責任を負う点(肢1・肢5)は、いずれも繰り返し出題される基本判例です。条文と判例を結びつけて整理しておくことが重要です。
ここがポイント
公務員個人は被害者に直接責任を負わず、国・公共団体が賠償後に故意・重過失の公務員へ求償する。複数公務員の共同の故意による損害の求償債務は連帯債務(最判令2.7.14)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。