令和6年度 行政書士試験 問29 相続と登記(物権変動)
甲土地(以下「甲」という。)を所有するAが死亡して、その子であるBおよびCについて相続が開始した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
判例(最判昭和38年2月22日)は、共同相続人の一人が勝手に単独名義の登記をして第三者に譲渡しても、他の共同相続人は自己の法定相続分の持分については登記なくして対抗できるとしています。本肢は妥当な記述です。
- 2正しい
遺産分割により法定相続分を超えて取得した部分については、登記をしなければ第三者に対抗できません(民法899条の2第1項)。Cは登記前にEに対し法定相続分超過部分の帰属を主張できず、本肢は妥当な記述です。
- 3正しい
遺贈による物権変動も、法定相続分を超える部分は登記なくして第三者に対抗できません(民法899条の2第1項)。Cは登記前にFの持分が自己に帰属する旨を主張できず、本肢は妥当な記述です。
- 4誤り
判例(最判昭和42年1月20日)は、相続放棄は登記なくして第三者に対抗でき、放棄者の債権者による差押えは無効になるとしています。放棄により遡及的に相続人でなくなるためです。差押えの無効を主張できないとする本肢は誤りで、これが妥当でないものです。
- 5正しい
特定財産承継遺言(相続させる旨の遺言)による承継も、法定相続分を超える部分は登記なくして第三者に対抗できません(民法899条の2第1項)。Cは登記前にHの持分の帰属を主張できず、本肢は妥当な記述です。
解説
相続による物権変動と登記の対抗要件を横断的に問う問題で、妥当でないものを選びます。正解の肢4は相続放棄の効果に関するもので、判例上、相続放棄は登記がなくても第三者に対抗でき、放棄者の債権者による差押えは無効です。これに対し、遺産分割・遺贈・特定財産承継遺言による法定相続分超過部分は、平成30年改正で新設された899条の2により登記が対抗要件とされました(肢2・3・5)。共同相続人の一人による無断単独登記の場合の法定相続分の対抗(肢1)も基本判例です。
ここがポイント
相続放棄は登記なくして第三者に対抗可(放棄者の債権者の差押えは無効)。一方、遺産分割・遺贈・特定財産承継遺言の法定相続分超過部分は登記が対抗要件(899条の2)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。