令和6年度 行政書士試験 問3 人格権と夫婦同氏制
人格権と夫婦同氏制に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。
肢ごとの解説
- 1正しい
氏名が個人の識別・特定機能を有すると同時に人格の象徴として人格権の一内容を構成する、という夫婦同氏制違憲訴訟(最大判平成27年12月16日)の判示どおりで妥当です。
- 2正しい
氏は法制度の一部として法律がその内容を規律するものであり、氏に関する人格権の内容も法制度をまって具体的に捉えられる、という同判例の趣旨に合致し妥当です。
- 3正しい
家族を一つの氏で呼称することに合理性があり、氏が身分関係の変動に伴い改められることが性質上予定されている、という同判例の判示どおりで妥当です。
- 4正しい
「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容とはいえない、とした同判例の判示どおりで妥当です。
- 5誤り
同判例は、婚姻前に築いた信用・評価・名誉感情等を婚姻後も維持する利益は『憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとまではいえない』としつつも、これらの利益は『憲法上の権利として保障される人格権を構成しないとしても、後記のとおり、氏を含めた婚姻及び家族に関する法制度の在り方を検討するに当たって考慮すべき人格的利益である』としました。考慮するか否かを『専ら立法裁量の問題』とは述べておらず、妥当ではありません。
解説
夫婦同氏制違憲訴訟(最大判平成27年12月16日)は、民法750条の合憲性を判断した判例です。最高裁は、氏名が人格権の一内容を構成すること(肢1)を認めつつ、氏は法制度の一部として規律されるものであり(肢2)、氏の変更を強制されない自由が憲法上の権利として保障されるとはいえない(肢4)として、夫婦同氏制を合憲としました。一方で、婚姻前に築いた信用等を維持する利益は、憲法上の人格権そのものではないとしても『法制度の在り方を検討するに当たって考慮すべき人格的利益』であると位置づけています。これを『専ら立法裁量の問題』として考慮対象から切り離す肢5は、判例の趣旨に反し妥当でありません。
ここがポイント
夫婦同氏制は合憲(平成27年)。婚姻前の信用等を維持する利益は人格権そのものではないが、法制度検討上『考慮すべき人格的利益』である点が引っかけ。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。