令和6年度 行政書士民法難易度 難

令和6年度 行政書士試験 問32 他人物売買・代理・即時取得

問題(引用)出典: 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和6年度 行政書士試験 試験問題」問32(原文のまま・無改変)

A所有の動産甲(以下「甲」という。)を、BがCに売却する契約(以下「本件契約」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

正解5選択肢 5 が正しい

肢ごとの解説

  • 1誤り

    他人物売買も契約としては有効です(民法561条)。当初から所有者に譲渡意思がなく所有権移転が不能でも、契約は有効に成立し、売主が担保責任・債務不履行責任を負うにとどまります。契約が無効になるとする本肢は誤りです。

  • 2誤り

    判例(最大判昭和49年9月4日)は、他人物の売主を真の所有者が相続しても、相続人(所有者)は信義則に反するなどの特段の事情がない限り、所有権移転義務の履行を拒むことができ、買主が当然に所有権を取得するわけではないとしています。本肢は誤りです。

  • 3誤り

    即時取得(民法192条)は前主に処分権限がないが占有がある場合に成立する制度です。本肢はBが代理権を偽った無権代理の事案であり、契約の効力の問題(無効)にとどまります。Cが当然に即時取得するわけではなく、本肢は誤りです。

  • 4誤り

    無権代理人の責任(民法117条)は、相手方が善意無過失であることを要件としますが、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた場合には、相手方に過失があっても責任を追及できます(117条2項2号但書)。Bは代理権がないことを知っているため、過失あるCも請求できる場合があり、一律に「できない」とする本肢は誤りです。

  • 5正しい

    理事の代表権に加えた制限は善意の第三者に対抗できず(一般法人法77条5項等)、定款で理事会承認を要する旨を定めていても、相手方が承認を得ていると過失なく信じたときは取引が保護されます。本肢は妥当です。

解説

他人物売買・無権代理・即時取得・代表権の制限といった複数論点を組み合わせた問題です。正解の肢5は、代表権の制限が善意(無過失)の第三者に対抗できないという取引保護のルールに基づきます。誤りの肢では、他人物売買も契約として有効である点(肢1)、他人物売主を所有者が相続しても買主が当然には所有権を取得しない点(肢2、昭和49年判例)、無権代理は即時取得の問題ではない点(肢3)、無権代理人が悪意なら相手方に過失があっても責任追及できる点(肢4、117条2項2号但書)が核心です。

ここがポイント

他人物売買も契約として有効(561条)。他人物売主を所有者が相続しても買主は当然には所有権を取得しない(最大判昭49.9.4)。代表権の制限は善意の第三者に対抗できない。

本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。

解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。