令和6年度 行政書士試験 問35 共同相続における遺産分割
共同相続における遺産分割に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢ごとの解説
- 1誤り
判例(最判平成元年2月9日)は、遺産分割協議は協議の成立とともに目的を達成して終了し、その後に共同相続人の一人が協議で負担した債務を履行しなくても、他の相続人は債務不履行を理由として遺産分割協議を解除することはできないとしています。本肢は誤りです。
- 2正しい
民法899条の2第1項により、相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については登記・登録その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できません。預金債権(債権)については同条2項により、相続人が遺言の内容等を明らかにして債務者に通知すれば対抗要件具備とみなされます。法定相続分を超える部分について対抗要件が必要とする本肢は妥当です。
- 3誤り
民法906条の2は、遺産分割前に共同相続人の一人が遺産に属する財産を処分した場合、他の共同相続人全員の同意により、当該処分された財産を遺産分割時に遺産として存在するものとみなすことができると定めています。現存する財産のみが対象とする本肢は誤りです。
- 4誤り
相続開始から10年を経過すると特別受益・寄与分を考慮しない法定相続分(指定相続分)による分割が原則となりますが(民法904条の3)、調停・審判の申立て自体ができなくなるわけではありません。本肢は誤りです。
- 5誤り
民法909条の2は、各共同相続人が遺産分割前でも、預貯金債権のうち一定額(標準的な当面の費用等を勘案して定める額)について単独で権利行使できると定めています。全員の同意がなければ一切引き出せないとする本肢は誤りです。
解説
平成30年相続法改正後の遺産分割をめぐる条文・判例知識を問う問題です。正解の肢2は、法定相続分を超える権利承継に対抗要件を要求する899条の2の知識です。誤りの肢では、遺産分割協議は債務不履行を理由に解除できない点(肢1、平成元年判例)、処分された遺産を分割対象に含められる906条の2(肢3)、10年経過後も分割の申立て自体は可能である点(肢4、904条の3)、遺産分割前の預貯金の払戻し制度(肢5、909条の2)が核心です。改正で新設された条文が集中的に問われています。
ここがポイント
法定相続分を超える承継は対抗要件が必要(899条の2)。遺産分割協議は債務不履行で解除不可(最判平元.2.9)。遺産分割前の預貯金は一定額を単独で払戻し可(909条の2)。
本ページに掲載する問題文・選択肢は、一般財団法人 行政書士試験研究センターが公表する令和6年度(2024年度)行政書士試験の試験問題からの引用です。正解は同機関公表の正答に基づきます。解説・ポイントは自習室比較ナビ編集部が独自に作成したものです。
解説は作成時点(2026-06-07)の法令にもとづく編集部の見解です。法改正により最新の法令と一致しない場合があります。正確性を保証するものではないため、必ず最新の公式情報をご確認ください。